Category: 柳琴

柳琴LESSON39~孟醒老師編

3、「均一」とは、アップ、ダウン時の力が均一化されていることをいい、弾撥楽器の大部分がこの問題を抱えています。つまり、ダウンの時の音の強度がアップの時のそれを超えます。なぜなら、大多数の楽器のダウンは表板にそって、下へ向かいますから、腕が下へ向かう力以外に、さらに地球の引力が加わるからです。よって、調整しなければ、アップとダウンでは、強弱がつくこととなり、これは重要なポイントです。また、弾撥楽器のアップとダウン時、ピック又は付爪と弦との接触する部分に最終的に誤差が生じ、全く同じにはいきません。ですから、強弱の不均一はさらに深刻になり、これを俗に「陽明音」と呼んでいます。このような陽明音を是正するには、ピックと表板の3つの角度に注意しなければなりません。一つは、ピックと弦の角度です。角度が広ければ広いほど、音は鈍くなります。角度が狭くなれば狭くなるほど、音は鋭くなります。この角度は、広過ぎても狭すぎてもよくありません。30度ぐらいがいいでしょう。(個々の状況が異なるため、具体的には、自分でいろいろ試してみてください)。二つ目は、ピックと琴の表板の角度です。この角度も広過ぎはよくありません。垂直より少し斜めになるぐらいがよいでしょう。この角度も30度くらいがよいと思います。斜め過ぎれば、陽明音が出やすくなりますし、ピックの角度が弦と琴の表板の垂直振動を引き起こし、音楽の音色に大きな影響を及ぼします。ですから、この角度も初級者は注意しなければなりません。3つ目は、ピックの動作の軌跡と琴の表板の角度です。この角度も音の均一に影響を及ぼす主要なポイントです。この角度も30度で平行に近い方がよいと思います。このようにすることで、弦と表板が平行振動に近づき、効果的に陽明音の発生を防止し、音を均一に調整します。そのほか、このような状況を改善したければ、耳を澄まして、自己の状況に基づいて調整してください。
(例えば、“アップ”のとき人為的に力を加えて、できるだけ、“ダウン”と“アップ”時の弦との接触点をより近付けてみてください。)

また、例えば、二拍子だと強拍と弱拍の繰り返しが強弱強弱なわけですが、この特徴を利用して、音楽の強弱に合わせて、ダウン時に弱拍がくるように合わせて弾いてみると、心理的につかみやすいそうです。

孟醒:徐州師範大学音楽学院教師、中国民族管弦楽協会柳琴、阮専業委員会理事、徐州音楽家協会副主席。1978年出生。3歳から父孟憲洪に柳琴を習い、6歳から著名な音楽家王恵然に柳琴を師事。1996年中国音楽学院器楽系入学。2000年卒業後、徐州師範大学音楽学院の教職に就き、2001年 徐州師範大学音楽系民族楽器オーケストラを設立、指揮を担当。

柳琴LESSON38~孟醒老師編

「振り」とは、右手演奏過程において演奏者が最もおろそかにしやすい問題です。弾撥楽器のアップ・ダウンピッキングは、擦弦楽器のアップ・ダウンボウと同様、各楽器の基本動作を構成し、弾撥楽器のアップ・ダウンピッキングが十分に振れているかどうかということと、擦弦楽器のアップ・ダウンボウで、弓全体を使いきれているかどうかと同様、演奏者の基礎がしっかり固まっているかどうかということを評価する重要なポイントです。弾撥楽器において、アップ・ダウンピッキングが最大限度まで振れているかどうかということは、演奏者が本当に力を抜いているかどうか、本当に手首を使っているかどうか、手首の力で琴を弾いているかどうかの目安ともなります。手首を十分に振って琴を弾かなければ、音楽の強弱の完全なコントロールは出来ません。弾撥楽器の音量のコントロールは一般的に次の点からコントロールします。

1,振りの幅。腕を円心として、振りの幅が大きければ大きいほどよいですね。始めは、遅いスピードから練習して、できるだけ人為的に振ってみてください。慣れてきたら、自然に出来るようになってきます。

2,振りの速度。練習開始時は、遅いスピードから練習して、だんだん速くしていってください。

3,振っている腕の緊張度。先にも言った通り、振りといっても脱力の振りですから、脱力も振りの脱力で、相対的なものです。ですから、腕はとても脱力していて、脱力した腕、前腕、上腕を維持することで、振り全体の過程が比較的脱力します。もちろん、脱力を会得した後で、脱力の基礎の上にどのように合理的に相対的緊張を習得するか追究してください。初級レベルの方には、まず、先の二つの方法から振りをコントロールすることを会得するようアドバイスします。慣れてきたら、3つ目の方法で振りを学んでください。

では、「脱力」と「振り」を把握したら、完璧な音色になるでしょうか?
答えはNoです。次に弾撥楽器の右手技巧の3つ目、「均一」についてお話ししましょう。
(続く)

孟醒:徐州師範大学音楽学院教師、中国民族管弦楽協会柳琴、阮専業委員会理事、徐州音楽家協会副主席。1978年出生。3歳から父孟憲洪に柳琴を習い、6歳から著名な音楽家王恵然に柳琴を師事。1996年中国音楽学院器楽系入学。2000年卒業後、徐州師範大学音楽学院の教職に就き、2001年 徐州師範大学音楽系民族楽器オーケストラを設立、指揮を担当。

柳琴LESSON37~孟醒老師編

孟醒先生によりますと、右手のピックの演奏のコツは、次の点に注意する必要があるとのことです。それは「脱力、振り、均一」

まずは、「脱力」からお話しましょう。

「脱力」とは、右手が演奏中に上腕から前腕、手首、手の指まで、すべて、相対的に脱力することが大事です(注意しなければならないのは、相対的な脱力であって、絶対的な脱力ではないということです)。では、具体的にどのように脱力したらよいのでしょうか?
1、右手の腕全体 (上腕、前腕、手首、指を含みます)の力を抜き、手首を中心にして、随意に2、3回振り下ろしてみてください。
2、腕は、自然に垂直に下ろし、その後、上腕を動かさずに、肘を中心にして、前腕を自然にゆっくりと持ち上げ、手首(又は前腕)(注意:楽器の種類によって身体の接触場所も異なります)を琴に触れ、自然に、力を抜いた状態、つまり緊張のない状態を基準にします。
3、正確に力を抜いた手の型を保ち、手首を中心にしてゆっくりと、アップ・ダウンピッキングを練習してください。(動作は扇子で仰ぐときの動作に似ています)。注意しなければならないのは、楽曲の演奏中、終始一貫して力を抜くということです。もちろん、特定の曲のなかには、演奏家も従来の規則に反して緊張感をもって演奏し、思いもよらない効果を得ることもありますが、これは特定の楽曲の一部分にすぎず、また、緊張の方法も力を抜くという基礎の上に成り立っているものであり、相対的に力を抜いていると言ってもよく、絶対的な緊張というものではありません。ですから、一般の音楽演奏者は、まず、脱力を会得してください。脱力が自由自在にできるようになったら、脱力の基礎の上に緊張感を追究してみてください。
これを読んだ人からはこう言われるかもしれませんね。
「完全に力を抜いてしまったら、音はどうやって出すのですか。ましてや強弱の変化はどうやってつけるのですか」
そんなに先を急がないでください。どうぞ、右手演奏技巧の二つ目のコツ「振り」の説明を読んでみてください。
(続く)

孟醒:徐州師範大学音楽学院教師、中国民族管弦楽協会柳琴、阮専業委員会理事、徐州音楽家協会副主席。1978年出生。3歳から父孟憲洪に柳琴を習い、6歳から著名な音楽家王恵然に柳琴を師事。1996年中国音楽学院器楽系入学。2000年卒業後、徐州師範大学音楽学院の教職に就き、2001年 徐州師範大学音楽系民族楽器オーケストラを設立、指揮を担当。

柳琴LESSON36~孟醒老師編

二日目午後は孟醒先生がいろいろ問題点を指摘してくださいました。

二胡と柳琴の手型は異なるので、二胡をやったことのある人の中には、うまく柳琴を抱えられない人もいるようです。
理由は、左手手首と親指の習慣にあります。
二胡の手型ですと、左手手首はやや曲がっていると思いますが、柳琴の手型はそうではなくて、左手手首はまっすぐです。
二胡の琴杆は虎口の中に完全に入ってしまうので、親指は脱力してさえいればいいわけですが、柳琴を弾く場合は、親指の腹の部分の最大面積を利用して琴を支える必要があります。
わたくしは、親指の指先で軽く琴を持とうとしていたため、親指がよく滑り落ちていきました。
この問題はもしかすると、ニ胡をやったことのある人が陥りやすいパターンかもしれません。

柳琴の傾斜ですが、琵琶と異なり、脚の上に垂直的に持つと音色が悪くなります。
琴の上に貼ってある白いテープは、好い音の出る軌跡を示していますが、ピックがこの上を通るように左手首を動かそうと思えば、やはり琴は斜めに持たなくてはなりません。孟醒先生ご自身はかなり斜めに構えますが、初級者にとっては、傾斜がきついと親指に負担がかかり過ぎるので、そこは自分の能力と相談する必要があるみたいです。
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それから、わたくしには本当によくない癖がありまして、左手のMP関節が反対に折れてしまうのです。左手MP間接は山のように外側へ出ているべきところ、谷間のように反対側にくぼんでしまうのです。
孟醒先生がいうには、初級者にありがちな問題なのだけど、二種類の人はこれを正すのが困難だそうです。一つは、8歳以下の子ども。子どもの手は軟らかいですからね。もう一つは、手が大きすぎる人(わたくしですね)。琴は小さいけど手は大きいとなると、このように無理をしないと力を入れて弦を押さえられないから、これ、もう仕方がないみたいです。
孟醒先生は、基本的な手型と姿勢というものはあるけど、個人の身体条件は異なるので、全く同じにはなるはずもなく、基本の姿勢を自覚さえしていれば、何が何でも変える必要はないとおっしゃいました。
わたくしの手はおそらく柳琴を弾くのには向いていませんが、出来る限りで理想を追究してみればいいかなと。
孟醒先生は、林吉良先生(阮の演奏者)の次の言葉を引用しました。

「演奏時には決まった姿勢、コツというものはありません。なぜなら音楽は心で聴くものです。あなたの音楽を聴いたときに、とても素晴らしく、また非の打ちどころがなく、聴衆を共鳴させることができたのであれば、あなたの姿勢は間違っていません。つまるところ、姿勢・方法は、素晴らしい音楽のために準備するものなのですから。」

以上の問題点のほか、孟醒先生は右手技術のコツについても話してくださいました。この話は基本的に彼が以前に書いた文章と一致するので、そのまま引用させていただこうと思います。(以下、続く)

孟醒:徐州師範大学音楽学院教師、中国民族管弦楽協会柳琴、阮専業委員会理事、徐州音楽家協会副主席。1978年出生。3歳から父孟憲洪に柳琴を習い、6歳から著名な音楽家王恵然に柳琴を師事。1996年中国音楽学院器楽系入学。2000年卒業後、徐州師範大学音楽学院の教職に就き、2001年 徐州師範大学音楽系民族楽器オーケストラを設立、指揮を担当。

柳琴LESSON35~孟憲洪老師編

以下は原文が中国語でして、それを自分で日本語に翻訳したので、何か、語感が違うんですよね~(笑)
中国語版は 孟憲洪柳琴制作中心のウェブサイトを参照。
http://www.mengxianhong.com/jdls-1.asp?aa=643

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一日目の午前中は、孟憲洪先生のレッスンを見学させていただきました。
実は、柳琴の生演奏、聴いたことがないのです(わたくしに柳琴を教えてくれた龍海先生(仮名)は、柳琴がご専門というわけではなく、子どもの頃からニ胡を弾いていらして、音大での専攻は作曲です)。
そんなわけで、孟先生の学生の生演奏を聴いて、ぱぁっと視界が広がりました。
柳琴ってこんなに表現力があるんだ~!
わたくしの現在のレベルでは、主要な調の音階を知っていて、いくつかの童謡がトロトロ弾けるに過ぎず、独奏曲なんて弾けないので、柳琴ってこんなに大きな音が出せて、こんなに澄んだ音が出て、和音がこんなに響くんだってことを知りませんでした。

今の日本では、中国器楽と言えば、多分、二胡学習者が多くて、柳琴をやっている人なんてすごく少ないと思いますが、おそらく、よい演奏を聴いたことがないため、やってみようと思う機会もないのだと思います。ちょっと勿体ないかもね。

学生さんのレスン終了後、わたくしの支架を調整するために、徐州孟憲洪柳琴制作中心(先生の職場)へ行きました。中秋節のお休み期間中なのに、職人さんにわざわざ来ていただき恐縮。職人さんにお礼を言ったら「どうってことないよ、どんなお客さんにもこうだから」とのご返事。
(日本語版だけのつぶやき:う~ん、日本だったらまぁ、お客様のためならって結構当たり前っぽいのですが、中国だと正直、ちょっと違和感あるセリフ。お客さんっていうより、“お前は友達だから”ってノリなのかもしれない…)

わたくしの柳琴の支架は通常の倍にしていただき、「腕托」とよばれる右手の置き場所みたいなものをくっつけていただいたら、前よりも琴が安定しました。
(日本語版だけのつぶやき:背の高い方、腕の長い方にとって、確かに小さな柳琴は持ちづらいはずなので、試してみてはいかがでしょうか。)

支架の職人さんが支架を調整している間、孟先生はわたくしに「赤とんぼ」と「牡羊曲」を教えてくださいました。

午後は、先生のお宅のレッスン室(車庫を改造した)をお借りして、一人で練習しておりました。
4時くらいになって孟先生と一緒にお散歩。(先生は気を遣って、どこか景色のいいところに連れ出してあげようと思ったのだと思います)
わたくしは楽器の材料や構造に興味シンシンなので、孟先生に質問しながら歩きました。
(日本語版だけのつぶやき:いろいろ聞いたのですが、あまり面白い話でもないし、書きにくいのでスルーです)

実は、わたくしの祖父は指し物屋だったので、子どもの頃、家にはたくさんの木材がありました。父は祖父の家業を継ぎませんでしたが、実物そっくりそのままの電車や船の模型を作ることが趣味で、家には道具がいっぱいありました。また、父はクラッシックが好きで(カラヤン指揮のベートーベンがお気に入り)、よく聴きながら模型を作っていました。こういう環境で育ったので、わたくしも工作や音楽を聴くことが好きなのかもしれません。

孟先生いわく「楽器だけ作っていてはダメだ」
(日本語版だけのつぶやき:中国に多くの粗悪な安い楽器が存在する理由の一つには、楽器のできない大工さんが作っていることがあげられます)
確かに、演奏できない大工、演奏者が求めているものが分からない人に好い楽器は作れませんよね。

例えば、祖父が生きていたら、柳琴を模倣して作ることはとても簡単だと思いますが、祖父が何か楽器を弾けたと言う話は聞いたことがありません。父が生きていたとしたら、やはり、柳琴を模倣して作成可能だと思います。でも、父も何か楽器をやっていた人ではありません。父は音楽好きでも、聴いていたのはもっぱら西洋クラッシックだったので、もし、父が柳琴を作ったら、中国民族楽器の音には絶対にならないと思います。

「楽器だけ作っていてはダメだ」という理屈はよく分かります。
例えば、翻訳と同じで、ただ外国語ができるというだけでは、好い訳文が書けるはずもないですよね。出てきた訳文はネット上の機械翻訳のようなもの。両国の文化を理解し、その分野を完全に理解していて、初めて好い訳文が書けるのだと思います。

孟憲洪:中国音楽家協会会員、中国柳琴協会常務理事、中国楽器改革制作協会常務理事、民族楽器制作名人、高級工芸アーティストであり、現在の柳琴の規格に主要な役割を果たす。中国民族楽器(柳琴)制作の終身成就賞を受ける。南京師範学院音楽系卒業。これまで王恵然、閔季騫先生に師事。長期にわたり、楽器の制作、改良及び音楽の実演、創作、教学に従事し、これまで、柳琴、中音柳琴、五弦柳琴、双共鳴箱柳琴、六弦柳琴、電気音響柳琴、機械軸柳琴及びその他の民族楽器の改良と研究・制作活動に参加。また、柳琴の支架(台座)と柳琴のテイルピースも考案。これまで孟憲洪に師事した学生のなかには、中国戯曲学院、上海音楽学院、中国音楽学院、徐州師範大学音楽院、瀋陽音楽学院、 上海戯曲学院、西安音楽学院、上海師範大学音楽院、浙江メディア大学等の高等音楽学府に入学した者もいる。
http://www.mengxianhong.com より引用

中秋節の予定

中国大陸は22日から24日まで中秋節休暇です。

毎年、一人さびしく過ごすのですが(だって家族は日本にいるので、家族団欒できないもん)、今年は無謀にも北京を離れることにしました。
じゃあ、何処行くのって?
徐州。。。

と言えば、分かりますよね(^^;

柳琴の支架(台座)を調整してあげるから、一度おいでよって、言われているので、孟憲洪柳琴制作中心に行くことにしました。
休日なのに、先生、いいよっていってくださってありがとう。

人からは、たったそれだけの理由で、徐州まで行くかぁ?と不思議がられました。
まぁ、確かに、旅費で新しい楽器買えますものね。
大した腕もないのによくやるよ、って(^^;ほんと、自分でも呆れています。

むかし、夫がわたくしに「游鯉ちゃんってさ、行動力あるよね」と言ったことがありますが、行動力というより好奇心が強いというか、ちょっと人と感覚がズレているのでしょうね

柳琴きちんと持てますか4

なお、以下の引用部分は、孟憲洪先生と孟醒先生の許諾を得て、徐州孟宪洪柳琴制作中心ウェブサイト(www.mengxianhong.com)の掲示板より翻訳、転載したものであり、孟憲洪先生と孟醒先生及び翻訳者である萩原有里(游鯉)の書面 による同意なく、著作権法の定める適正な利用を超えるその他の利用はできないことをご理解ください。

游鯉より
No.205に対するご回答ありがとうございました。

琴の位置を上に引き上げたら、左手親指の負担はだいぶ軽くなりました。また、支架がとても低いと右手の腕の重量が足りなくて、右手がバランスの一部を形成できないと感じました。琴の位置を高く引き上げると、右手の重量を十分に利用できるかなという気がします。わたくしの感じですと、脚から支架の穴まで10センチ以上いるような気がします。(第2弦の琴軸の位置がわたくしの耳の位置と同じくらい)。これって、美観的に如何なものかとも思うのですけどね…
でも、美観がどうであれ、わたくしはちゃんと琴を弾きたいと思っておりますので、どうぞご指導のほどよろしくお願い申し上げます。

それから、「あなたが本を手に取るとします。あなたが手にとった本が左右に傾斜することを心配するでしょうか? 原因の一つは、親指とその他の4本の指の対抗する力のバランスがとれていないのでしょう。他には右手の重量を利用することです。」というアドバイスはとても参考になりました。でも、開放弦を弾いた後にポジション移動しようとすると、左手親指が後ろに滑ってしまい、琴は必然的に左下に傾いてしまうのですが、どうしたらいいのでしょう?

【孟憲洪先生の回答】

やっと出張から帰ってきました、ごめんなさいね。一、左手を下へポジション移動する際、左手親指を下に移動させるときは、内側あるいは中側に異動してはいけませんよ。琴の縁に沿ってください。そうしないと琴を持っていられません。試してみれば分かります。二、琴の台座を高くした後、琴頭は耳の傍へ近づくようではいけません。琴頭を前に出して、琴頭と肩の距離はげんこつ一つ分くらいです。こうすれば弾きやすいと思います。試してみたら、またご連絡ください。柳琴の支架は私が数年間模索して、1977年に今の形に落ち着き、右手、左手の問題を解決しました。遠慮なく意見を出してください。たくさん意見交流しましょう。

柳琴きちんと持てますか3

なお、以下の引用部分は、孟憲洪先生と孟醒先生の許諾を得て、徐州孟宪洪柳琴制作中心ウェブサイト(www.mengxianhong.com)の掲示板より翻訳、転載したものであり、孟憲洪先生と孟醒先生及び翻訳者である萩原有里(游鯉)の書面 による同意なく、著作権法の定める適正な利用を超えるその他の利用はできないことをご理解ください。

孟先生 回答ありがとうございます。

左手の親指ですが、わたくしも左手の親指のフォームが間違っているということを知りながら、どうしても矯正できませんでした(訳注:本を持つときのように丸くあるところを反対側に反ってしまっている形)。もともと左手はとにかく負担がかかりすぎていて、琴が下に落ちないために、仕方なくこのように無理をして琴を支えざるをえなかったのです。

わたくしの先生もかつて、わたくしの右手はテイルピースの上に単に触れているだけで宙に浮いているのではないかと指摘してくださいました。そのようなわけで、うまく把握できていないのです。以前の先生は腕の重力を利用しろとアドバイスしてくださらなかったので、今回、試してみようと思います。

支架の高度ですが、脚を組んだ姿勢で、琴を抱えても琴はまだ安定しません。ですから、バスタオルを畳んで右脚に乗せてみたところ、少しはましになりました。

琴と身体の接触点ですが、これは以前、誰もわたくしに言ってくださらなかったので、気にしたことがありませんでした。支架が低いと確かに琴と身体はどこも接触しません。支架を高くすると、琴と身体の接触点は、だいたい胸の位置になります。支架の高さにかかわらず、腹部は琴とは接触しませんね。でも、これは大部分の女性学習者はそうなのではないかと思うのですが、どうなのでしょうか?
今のところ、支架の位置を上げることで、左手は正確なフォームを保つことができますが、長く距離を移動しなければならないポジション移動になると琴はやはり動きます。場合によっては前に落ちてしまいます。これは時間とともに解決される問題なのでしょうか?

それから、支架がなかった昔は、皆、どうやって琴を持っていたのですか?どうやってバランスをとっていたのでしょうか(訳注:テイルピースも支架も近年の改良の結果です)。昔の柳琴と今の柳琴とでは大きさは同じですか?昔の柳琴の演奏には、大幅なポジション移動は伴わなかったのでしょうか?

孟憲洪先生の返事

柳琴の改革は近代の出来事で、柳琴の発展と作品の創作も近代の出来事です。柳琴曲がだいたい出そろった頃、支架も加えられました(^_^)。初期、私が子どもの頃に柳琴を習ったときも、支架はありませんでした。でも楽器の改革と発展に伴い、あっというまに支架が付け加えられました。初期の柳琴曲にもポジション移動はあります。考えても見てください。あなたが本を手に取るとします。あなたが手にとった本が左右に傾斜することを心配するでしょうか? 原因の一つは、親指とその他の4本の指の対抗する力のバランスがとれていないのでしょう。他には右手の重量を利用することです。(^_^)試してみてください。琴と身体の接触点はあまり重要ではありません。偶然、触れるに過ぎません(^_^)。あなたの質問は女性への質問なので、この部分について私はうまく答えようがないですね、ご理解のほどを(^_^)。

柳琴きちんと持てますか2

さて、柳琴ちゃんと持てますかの続きです。

【前提事項】
柳琴のバランスをとるために柳琴と身体が触れる場所は以下の4点です。

1、支架(台座)
2、テイルピース上部に置かれる右手
3、琴をもつ左手親指
4、身体(体型によって触れる位置は違うかもしれませんが、お腹か胸のあたり)

上記写真はすべて悪い例です。反面教師にしてくださいませ。
一般的に右脚の付け根あたりに支架を置くのが奨励されていますが、わたくしは背が高い(177センチあります)ので、支架を付けても高度が足りず、かなりバランスを崩します。

どこを改善すべきかは、以下、孟憲洪先生と孟醒先生のアドバイスを参考にしてください。

なお、以下の引用部分は、孟憲洪先生と孟醒先生の許諾を得て、徐州孟宪洪柳琴制作中心ウェブサイト(www.mengxianhong.com)の掲示板より翻訳、転載したものであり、孟憲洪先生と孟醒先生及び翻訳者である萩原有里(游鯉)の書面 による同意なく、著作権法の定める適正な利用を超えるその他の利用はできないことをご理解ください。

孟憲洪先生の回答

(^_^)身体と琴の接触点は補助にすぎず、主要部分ではありません。接触点はおそらく腹部(各人の身長や体型が違うので一概には言えませんが…)でしょう。
柳琴の主要なバランス支点となるのは台座(支架部分)で、そのほか、左手と右手がサポートします。左手にせよ、右手にせよ、右手だけに頼れば、右手がテイルピースを圧迫し、音色に影響が及びますのでよくありませんし、左手だけに頼れば、左手親指が琴を下から押し上げることになり、これもよくありません。なぜなら、左手の負担が大きく、ポジション移動に不利になるからです。ですから、左手右手の両方を実情に応じて調節すべきです。
一般的に、左手親指は主要な支点ではありませんが、全く支えないのもいけません。なぜなら左手のその他の4本の指とバランスをとるために必要です。琴が完全にバランスを保っていれば、左手の親指も力の入れようがありません。
(^_^)左手親指の運用は奥が深いです。

孟醒先生の回答

写真を拝見しました。次の点に気をつけてみてはいかがでしょうか。

1 もし、可能であれば、右足を左足の上に置いてみる(中国語で俗にいう「二郎腿」の姿勢、つまり脚を組む)と基本的に柳琴の高度を上げることができると思います。

2 これまで何度か徐州に来てはいかがでしょうかと言いましたが、これは支架を改善してはどうかという意味で(^_^)、柳琴を注文制作してはどうかとの意味ではありません。あなたが使用している支架はちょっと低めで、おそらく穴の場所もあなたの身体の角度に合っていない可能性があります。無償で支架の穴の位置と角度を調整します。

3 あなたの右手はもしかして、テイルピースの上部で宙に浮いてしまっているのでしょうか?支架は支点です。テイルピースと右手は琴のバランスをとるために重要な一部分です。力を抜いても大丈夫です。自然に右手の腕の重力を利用してテイルピースの上部においてください。このように支架の支点を利用することで、バランスを保つ力の一部にします。

4 身体と琴は基本的に平行です。琴はほんの少し身体に触れます。ポジションの位置によって、演奏及び身体と楽器の重心によって、多少変化します。

5 あなたの右手の手の形は一般的且つ正確です。でも、左手の手の形は逆です。流線形で下に向かうべきところ、あなたの場合は下に向かっています。左手の親指も適当にもう少し後ろに置いてもいいでしょう。第一ポジションのとき、琴の首を一冊の本だと思ってください。前面の親指と後ろの4本の指の頭を用いて本を持つときの形を基準にして、そこからさらに一辺に向かって少し傾斜し、少し琴のバランスにも配慮してください。

以前にも言った通り、琴のバランスは4つの点を相互に配慮しなければなりません。演奏技巧に基づき、ポジション移動等の必要性により微妙に変化します。
以上4点が私のおおむねの視点及び見解です。お返事おまちしております(^_^)

以下続く。。。

柳琴きちんと持てますか?

恥ずかしながら、告白しますと、未だにきちんと持てません…

市場で売っている柳琴には普通、支架(支え)が付いてきます。
それを琴のおしりの穴のねじにくるくるとはめて、支架を右足の太ももの付け根あたりに置いて琴を安定させます。
琴は何度くらい傾斜するように構えるのがいいのでしょうね。
いずれにしても、右手を琴から離して、左手親指だけで軽く支えているくらい、それで上下のポジション移動がスムーズにできる安定した位置を探しなさいとどの先生も言われると思います。

でも、現実的に、すぐに琴を安定させられる人っているのでしょうか…
どうしても左下へ琴が傾き、左手、重くないですか?
親指に負担がかかり過ぎて、スムーズに上下に動かないようって思いません?
現に、中国の愛好者の掲示板等を見ていると、持ちにくいとか、支架をどこに置いたらいいのか分からないという人がいるので、わたくしだけの問題ではないような気もいたします。
親指に負担がかかり過ぎる場合は、姿勢が正しくない、重心が安定する位置が分かっていない等、の原因が考えられます。
琴のつくりそのものが悪くて琴が安定しない場合もあるそうですが、そこそこのメーカーが作った琴なら、規格面において超粗悪品ってことはないでしょう。
(でも、たまにあるらしい…)

そして、試行錯誤を繰り返しても、わたくしはうまく琴が持てないのです。
最後はしょうがないから、琴から支架を外して、琴本体を両足の中間に置いてできるかぎり琵琶のようにタテにならないように無理して抱えておりました。
多分、これだと若干、琴の傾きがベスト状態から離れる筈です…
哀しくなって、もう、やめちゃおうかと何度も思いましたが、先生が余り楽しそうに弾いてわたくしを励ますので、やめるきっかけを失いました(^^;
続けてきた理由は、単にそれだけのことです。

ピックの角度についてブログでコメントをいただき、日頃、自分の角度は多分よくないだろうと思っていたので、この際、琴の制作者孟憲洪先生とその息子さん、孟醒先生に思い切って聞きました。
柳琴に支架を付けることを思いついた人間(孟憲洪先生)に聞くのがやっぱりベストでしょう?
ちゃんと琴が持てる支架ってないのか、わたくしの持ち方は良くないとは分かっているけど、どうしようもないんだとメールで訴えてみました(^^;
(大先生に何とまぁ。。。と思われるかもしれませんが、教えてくれる人が少ないし、愛好者の中にはいい加減なことを言う人もいるし、こちらも必死なんですよ)

結論は、やはり、中間に琴を置く持ち方は右手に影響を及ぼすため、音がよくないだろうから薦めないとの回答をいただきました。
琴制作者の孟先生もわたくしの体型や姿勢を見ていないので具体的にはアドバイスしようがないのですが、もし、身長が高い、手が長い、手が大きい等の身体的理由から持ちづらいということはあるかもしれないので、自分に合うように琴を制作して、支架も体型に合わせて穴をあけて、長さも高めに調整するのが一番いいだろうとおっしゃっていました。

琵琶は右手の腕をまげてきて、手の指が行動半径になるので琴を中間に置いても問題ないけど、柳琴は手首が行動半径になるわけだから、琴を中間に置くと音色が悪くなるはずだし、そうするとあなたの身体はまっすぐではないか、少し傾斜してしまうのではないですか。

という孟先生の回答は、右手のあるべき姿の参考になるかと思ったので、ご参考までにネットにアップしてみました。
しかしながら、超初心者の外国人なのに、親切に回答していただき、感激いたしました。

え~、もう、これは孟先生の製作所まで飛行機に乗って行って、その場で姿勢を見てもらって矯正していただくか、やっぱりどんなにがんばっても琴と身体が思いっきり合っていないということであれば、そこで、調整してもらって、1把制作してもらうしかない?
わ~、旅費と琴代、合計いくらかかるんだぁ???
非現実的だわ。

ちゃんと琴持てなければ、結局、今まで何を勉強してきたんだろうね。
(龍海先生は、今のままでも、ちゃんと弾けるんだから、別にいいじゃないって言うけど(ショートメッセージで報告したら、そう返事が返ってきた)、中国人だからおおらかなだけで、日本人だったら何それって言うと思うよ)
これじゃあ、人と遊んでもらえないよう。
本当に哀しいよう。

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