Category: 音楽あれこれ

ピアノLESSON(番外編)

とにかく、最近落ち込んでいることは先の日記に書いたとおりです。
悪循環にハマっている感じです。

二胡のレッスン場所は友人の音楽教室(子どものピアノレッスンがメイン)なので、ピアノはすぐそこにあるんですよね。
(だからレッスン時はチューナはいらない)
音程が分からない自分がもう哀しくって、哀しくって、どっぷり落ち込んでいたところ、友人が
「あなた理想高過ぎるからね~そんなに無理しなくても、もっと楽しく弾こうよ、私なんて1年も同じピアノ曲弾いてるけど、ぜんぜんパスできない~」
と励ましてくれました。
この友人はピアノ講師というわけではなく、教室運営と事務をしているのですが、子どものレッスン前の練習に付き合ったりもしますので、有る程度、ピアノは出来ます。
友人は事務の合間に職権を利用してピアノを習っているわけですな(^^;
友人は琵琶は子どものころからやっているので、まぁ、そこそこできるものの、「ピアノは大人のレッスンなので、手が早く動かないもんね」と笑いながらモーツァルトをちょっと弾いてくれました。
「あなた子どもの頃、ピアノやってたんだったら、簡単な曲なら弾けるかもよ」と中央音大のピアノの試験(初級)の本を渡され、2級(すげー低いレベル…)にクレメンティのソナチネがあったので、それをカメさんモードで弾いてみました。
(20年以上弾いていないし、先生もわたくしも熱心ではなかったため本当に何も弾けないんだな…)
ははは、そんなに遅く弾いてどうするという、「こらひでえや」という演奏してしまいました(^^;

あぁ、どんなにいい加減に弾いても、音程が狂わないのが嬉しい…と変なところで感動してしまいました。
鍵盤楽器に浮気したい。
でも、これまでいろんな楽器を超浅く渡り歩いてきたけど、それぞれの楽器にそれぞれの難関があるんだよね。
要はその難関を超えられるかどうかって、結局、その楽器やその楽器を使った楽曲にどれほど惚れているかってことなのかなぁと思ったりするのでした。
あぁ、二胡はいつまでたってもポジション移動するたびに音程ずれるし、柳琴は相変わらず持ちづらいし…
10年後、まっとうに独奏曲を弾くことができるんだろうか?

松脂の話

レッスンのとき、ナナ先生は松脂が大好きだと言う話になりました。
子どもの頃、あまり裕福ではなかったナナ先生の両親は、松脂が少なくなってきて付けにくくなると、溶かしてまた丸い固形にしてナナ先生に渡してくれたそうで、その溶けて元通りになるのが不思議で面白いなぁと思ったナナ先生は、その後、松脂を見ると「かわゆい」と感じるようになったそうです。
(溶かして使うのは品質上よくないでしょうから、今は当然そんなことしないそうですけど)

もっとも、弦楽器やってる人は、使ったことのない松脂を見るといろいろ試してみたくなるという人は多いんでしょうね。

でも、ナナ先生、今使っているある松脂が好きと言っているわりには、メーカーも名前も覚えていないんですよ。
輸入物で、大抵、北京のどこの楽器屋でも売ってて、筒型で色がいろいろあるやつで、紅いのがいいって言ってるんですけどね。
箱が紅いの?それとも松脂自体が紅いの? ナナ先生のお気に入り、よくわかんねぇ…
いろいろな色があるっていうと、ドイツのピラストロだろうか???
Goldflex か Obligato かなぁ?

松脂自体がカラフルっていうなら、スーパーセンシティブ クラリティ スペクトラム?
(でも、これは、色が違うだけで、色によって性質違わないよね?)

じゃ、やっぱ、ピラストロ???

ちなみに、わたくしは、ベルナルデルだったりする。
ナナ先生は「これ、使ったことないわ~」としみじみ眺めて、しみじみとわたくしの弓に塗って、しみじみとわたくしの二胡を弾いた後、
「この松脂、悪くないわよ、いいけど、やっぱ、私は自分が今使っているものの方がいい感じ」とのご感想。
「で、人民元に換算するといくら?」とお尋ねになるので「190元~200元くらいじゃないですかね」と答えたら、「ちょっと高いわね、私が今使っているものは、200元しないけど、いいよ~」とのこと。
もし、おっしゃっている松脂がピラストロのオブリガードであるのならば、確かにベルナルデルよりは安いよね。
機会があれば、箱を見せてもらいたい…

ナナ先生は中国産もいろいろ試したけど、あんまり好きじゃないとのこと。
言えるのは、高価で品質がいくらよくても、二胡に合うかどうかはまた別問題だったりするし…
欲しい音がどういうものなのかによってもお気に入り度が違うだろうし…
粒子の粗さとか、ねばり感とか違うもんねぇ。
人によって使っている弦が違うから、ある人が好いって言っても、別の人が好いと感じるかどうか分かんないしね。
ちなみに、ナナ先生がよく使う弦とわたくしが使っている弦は同じだったりする。
FANGFANG専業用二胡弦 (青)(内外弦セット)中芸科技製
2、3ヵ月毎くらいに張り替える(日本で買うと多分1000円以上すると思う)
ちなみにナナ先生にいわせると、これよりもっと高い弦も使ってみたけど、これで十分だとのこと。
わたくし自身は、これより安い弦も高い弦も使ってみたことあるし、銀の弦も張ってみたこともあるけど、わたくしの腕では音色がどうこうっていう差は正直、出ないと思う(何で弾いても下手は下手~)。
じゃ、自分が弾きやすけりゃいいじゃん、チューニングしやすけりゃいいじゃんってことで、これをずっと使用しております。

じゃ、次は、ナナ先生にメーカーをきちんと確認して、同じもの使ってみようかなぁ…
本当は、新品の同じ弓を何本も使って、一度に数種類試してみたいんだけど(^^;

手の大きさについて

22日から24日まで中秋節のお休みでした。
休暇中、柳琴の先生のお宅を訪ねて江蘇省の徐州におりました。
いや~北京とか上海とかなら、道も心得ているし、お買いものに行ったり、観光したりとか独りでも遊べるのですが、徐州ってどうしていいのかほんと分からなくて、結局、先生と先生の息子(同じく先生なんですが…)と先生の学生にくっついて(?)過ごしました。
日記は後日アップします。
先生から中国語でも書いてと言われており、書いたのですが、文法チェック、内容チェックをしていないので、まだアップできません。
とりあえず、ちゃんと北京に戻ったことを書かないと、心配する友人がいるので、どうでもいい話題など…

さて、楽器を弾くようになってから、他人の手がやたら気になるようになりました。
先生にて会ってまず、言ったセリフが、「先生の手を見てもいい?」

どうぞ、と差し出した先生の手は、まぁ、大きいのですが男性なら一般的な大きさ。
わたくしと手を合わせてみると、わたくしの方が明らかに指が長い。
そこで、負けるものかと思ったのかどうか知りませんが、先生は「こっちは右手だから長くないけど、左手はもう少し長いんだよ」と言って両手を合わせて見せてくださいました。
ほんとだ、先生の左手の指は明らかに右手の指より長い。
「子どものころから、柳琴弾いているからね」とおっしゃり、「息子はもっと幼いころからやっているから、もっと左右の差がある」と教えてくれました。
ひょぇ~そんなに違うものなんだと思いましたね。
そういえば、子どもの頃、琵琶を弾いていた友人は、手の広がり方が左右で明らかに違いました。そんな彼女が真剣にピアノを弾いてみると、左手は上手なんだけど、右手がちょっとどんくさい。
普通の人がピアノを弾く時は、右手は器用に動くけれど、左手がどんくさいのだけど…

あぁ、やっぱ、子どものころからやっている、って全然違うんだなぁ(当たり前ですね、4、5歳、遅くても7歳くらいから20年以上やるわけですから)、どうせ、わたくしは大の大人になってから始めたからねと内心拗ねていたのですが、後で自分の両手をきちんと合わせてみてビックリ。
左手の指の方が微妙にちょっとだけ長い…
え~うそ???
わたくしなんて、柳琴にせよ、二胡にせよ、学習期間1年未満だよ?
いつも、「くそう、指がきちんと広がらないと音程が狂うじゃねぇか」と一生懸命、指を伸ばして弦を押さえていたら、伸びるものなんだねぇ…驚き。
子どもの頃からやっていると、身体がその楽器の必要性に合わせて成長するというのは知っていたけど(バイオリン奏者等の歪み方は分かり易いそうですが…)、子どもでなければ、指が伸びたりすることはないと思っていたのに。

ニ胡LESSON22

準備体操の長弓
いつもの速めのスピードはこのまま練習し続ければOK、レッスンではもう弾かなくてもよろしい、次からはものすごくゆっくり弓を使って練習しなさいということになりました。あぁ…超のろい亀スピードなので、手がこわばる…音が切れそう…これを均一にしろってか???

準備体操2 音階練習
DGCFAB♭の音階を第三ポジションまで一通り弾く

一時間目 「二胡音階練習」王国潼編著 人民音楽出版社

7.D調上把位模進練習一
9.D調上把位至中把位模進練習一
14.D調上把位至中把位音型模進練習二
27.G調上把位模進練習二
28.G調上把位至中把位模進練習一
32.G調上把位至中把位音型模進練習二
39.C調上把位音階模進練習一
41.C調上把位音階模進練習三
43.C調上把位音階模進練習五
58.F調上把位音階模進練習一(前回からの持ち越し)
59.F調上把位音階模進練習二(前回からの持ち越し)
77.B♭調上把位音階模進練習一

どうやら、わたくしは弓を引く時の出だしだけ、若干速めで、押すときは正常な速度のようなのです。引く時と押す時でスピードが違えば当然、音に妙な強弱がつきますよね。
均一になるように注意が必要です。
また、スラーを弾くと、右手と左手の動作に微妙なズレができて、音がぼやけます。
クリアに音をだしなさい、右手と左手はちゃんと協調しないとだめよと注意を受けました。

二時間目 中央音楽院考級曲目3級

とりあえず、目標とする級と時期、課題曲を決めました。

選択必須練習曲 とりあえず「アルペジオと分散和音練習曲」か「F調ポジション移動練習曲」にしましょうということになる。
選択練習曲   「自然ハーモニスク練習曲」
「ハーモニスクなんて簡単だから、これいっちゃわない?」とナナ先生に薦められ、わたくしも「じゃ、習ってみたいから、そうしちゃおう!」と安易に決まりました。

選択必須楽曲 「良宵」
選択楽曲 「花歓楽」
つまるところ、先生のお考えでは、快弓は当分、避けようということなのです。
やはり教える人によって考え方がだいぶ違うものなのですね。
龍海先生(仮名。わたくしの最初の二胡の先生)は、基礎が固まってきた段階で、「賽馬」をわたくしに教えるつもりで、何度か、わたくしの前で弾いてくれました(この曲も同じ級です)。つまり、有る程度の段階で快弓を教えてしまうつもりだったのでしょう…ナナ先生は後回しにする方針なのですね。
やっぱり右手の技巧は左手の技巧に比べると習得が難しいってことなのかな???
ナナ先生は選択楽曲に「蘇南小曲」を薦めたかったみたいなんだけど、知らないのでパス~。
その次にナナ先生お勧めの「花歓楽」にしました。
これは、わたくしの好きな江南絲竹「歓楽歌」の変形なので、覚えやすいかなぁと思っただけ(怠け者…)
今回は、どういう風に進めていこうかという話がほとんどで何も弾いておりません。
次はデタラメでも何でもいいから、やれるところまで、通して弾いてきなさいとのことです。(え???ナナ先生も大胆ですね、最初だから、かなりめちゃくちゃでもいいということらしい)
もちろん、わたくしの今の実力では、音、狂いまくることは必須(^^;
とりあえず、別に今すぐ受けるわけじゃないので、音はぼちぼち合えばいいってことにしよう。

おまけ 中央音楽院考級曲目1級

いきなり3級の曲は無理なので、1級の曲でも弾きましょうということで、陳振鋒作曲「山村初暁」 楽曲。
楽曲の弾き方をぼちぼち教えてあげるからということで、簡単だから、次回これはちゃんと弾いていらっしゃいと言われました。

ちなみに、試験対策だけすると応用の利かない「生煮え」状態になるものなのですが、ナナ先生は「私の学生はそんな目に会わせない、あたしが付いている限り安心しなさい!」とのことで、基礎は基礎、試験は試験との別メニューです。

ちなみに、先生いわく、「あなたはちょっと特殊なケース」。
こういう教え方は通常しないそうです。
理由の一つは、趣味の人は通常、そこまで一生懸命にならない、なる必要もないし…二つ目は、中国人であれば、将来的に教えてあげられる時間がいっぱいあるので急ぐ必要がない、三つ目は、今のところわたくしの飲み込みが早いので、このままやらせてみようと思ったということらしいです。

二胡LESSON21の前日

いつか「考級」を受けたいなと思い、音楽院のなかにある書店へ「考級」の本を買いに出かけました。
だいたいの位置は知っているものの、行ったことがないので、フラフラとあっち行ったりこっち行ったりしながら、やっとたどり着きました。
「あ、あの建物、音楽院…コンセルバトワールって書いてある…」という方角だけを頼りに歩いていったので、正門ではなく裏口から入ってしまいました…
しかも今、工事中なので、変な立ち入り禁止のテープが張ってあるところをくぐりぬけ、まるで怪しい侵入者。
ほんと、総合大学ではないので、狭いのよ(そこら辺が北京大学等の総合大学とは大違い。ちなみにわたくしの母校(研究所)もなんじゃこりゃというほど小さかったが…)。
コンサートホール、練習棟、教学楼、図書館…あちこちフラフラしたけど書店が見あたらないので、最後の手段としてナナ先生に「書店どこですか…どこにも見当たらないです~」と間抜けたメールを打ったら、「正門の傍よ」とのお返事。
「あ?そういえば、正門どこだったんだ???」ということに気付き、自分がようやく裏から来たことを知りました。なんだ、ほんと正門の傍にしっかりあったわ。

ちなみに日本語の「裏口入学」という言葉、中国語にもありまして「走後門」といいまして、やはり裏口へ行くと言うのです(^^;

前置きが長くなりましたが本題…

北京の二胡考級の主宰団体といえば、おおむね、次の4つらしいです。
中国音楽家協会、中央音楽学院、中国音楽学院、中国民族管弦楽学会。
どこが偉いとかいうことはないらしいですが、「級の数と曲の配置には差がある」のは周知の通りです。一般的に中央音楽院が一番厳しいのではないかといいますね(試験そのものが難しいというより、難しい曲をマスターしたとしても、級が大して高くなかったりするので気分的に割にあわない???という意味かもしれない)

例えば、中国音楽家協会は10級が最高、中央音楽学院は9級が最高だけど、その次に「演奏家証書」という特別なレベルがあったりします。
「良宵」「賽馬」は中央音楽院だと3級だけど、中国音楽院では4級です。
こうなってくると、有名な曲がどこに配置されているのか知りたくなってくる…

「光明行」中国音楽院5級 中央音楽院4級
「月夜」中国音楽院6級 中央音楽院6級
「空山鳥語」中国音楽院7級 中央音楽院5級
「聽訟」中国音楽院7級 中央音楽院6級
「江河水」中国音楽院9級 中央音楽院6級
「秋韻」中国音楽院9級 中央音楽院8級

ちなみに中央音楽院の演奏家証書は「第一二胡狂想曲」とかそういうやつを弾かなければならないみたい。

う~む、ほんと級と曲の配置が違うんだなぁ…

中央音楽院の場合、器楽試験の3級以上に申込む場合、「音楽基礎試験」(音楽に関する一般教養?)の証書もいるらしいので、(器楽試験の1、2級受験者及び40歳以上は要らない)中国語が出来ない人は40歳になるのを待つしかないわな。もしかして、他の団体では必ずしもこういう試験証書が必要ないのかもしれない(未確認なので、受験を検討中の方はご自身で調べてください)。
4級以上に申し込む場合、必ず一つ前の級の証書がいるらしい(初めての受験又は本当に実力があって飛び級をする場合は、試験時に前の級の課題も弾かなくてはいけないらしい。
また、25歳未満は暗譜しないといけないらしい。
うーむ、歳をとっていて得したな。
でも、暗譜は自然にできるから優遇してくれなくてもいいんだけど。

考級の本以外には、音楽史みたいな本も買ってみました(ナナ先生には、「そんな試験勉強みたいな本、私達は嫌いだけど、あなたってほんとそういうの好きよねぇ…」と不思議がられました)
考級の補助教材DVD以外には、王国潼先生の演奏DVDも買いました。
あぁ…いつか、王先生みたいな「良宵」が弾けたらいいんだけどな…

言語と音楽の関係

その国の言語はある程度、その国の音楽に影響するといいます。
例えば、言語の特徴がリズムとか、旋律の特徴とかにあらわれているというのです。

中国特有の言語は、中国音楽に豊富なリズムを提供し、その声調の特徴も中国旋律の表現及びスタイルの確立に貢献している。

それを聞いて、なあるほど、と膝を打ちました。

例えば、わたくし、大嫌いなんですよ、日本のカトリック教会のミサで歌う曲(実はわたくしは不真面目なカトリック教徒)。
全音符がず~っと続いて、一小節の間に歌詞を棒読みするようなあの感じ。
(実際には棒読みというのは言い過ぎで、一応歌っているわけですが…)
日本語だから「棒読み」ができるのだろうなと思っています。
中国語は棒読み不可能な言語です(^^;

わたくしの夫は、「ニイハオ」しか中国語が分からない人ですが、「中国語の会話はまるで歌っているようだね」だと言ったことがあります。
そうなんですね。
日本人の中国語初級者に中国語を喋らせると、中国人には何を言っているのかさっぱり分からないということの原因は、主として中国語には日本語の発音にない発音があるということと、中国語の声調(音の高低変化)が間違っているか、そもそも、声調を意識せずに棒読みしているということが考えられます。
わたくしの中国語は今ではちゃんと中国人に通じますが、今でも時々分かってもらえないことがあり、そういう場合は発音が変というより、声調間違いが多いです(てへ)。

中国人同士でも地方によっては、標準語を話していても声調が違ったりします(天津のお年寄りの声調は分かりづらかった~)。
例えば、わたくしの発音又は声調がヘンでも、きちんと相手の言葉を聞きとって文法に適った中国語を喋ってさえいれば、会話は問題ありません。ただ、最後に相手から「おねぇちゃん、どこの出身?」と訊ねられるだけです。
(中国人でも外国人より標準語の発音が苦手な人がいます)。

中国の領土は果てしなく広く、秦朝以来、漢族の言語文字は統一されてきたが、地理的、歴史的原因により、地域による言語の差はとても大きい。また、中国には56の民族がおり、その言語及び文化背景も異なる。これらはすべて、直接、各民族・各地に存在する様々な音楽言語スタイルと音楽言語美観に対する様々な理解を生むこととなる。例えば、民間声楽作品の音楽言語スタイルは、現地の生活言語、イントネーション、語気、習慣と完全に一致する。各地の民間器楽は、その初期の源泉が地方声楽の吟唱の趣と関係があるため、そのスタイルも間接的に地方言語と地方音楽審美習慣の影響を受ける。
修海林・李吉提「中国音楽的歴史与審美」第二版、中国人民大学出版社、2008年、245頁。

ちなみに標準語の声調は4つしかありませんが、地方言語のなかにはもっと多いものがあります。地方言語とは、有名なところで言えば、上海語、広東語、閩南語(福建省南部•広東省東部の潮州•汕頭一帯•海南島の一部•台湾の大部分に分布している方言)とかが挙げられますね。日本の方言のように別の地方の人でも理解できるというものではなく、外国語だと思った方がいいくらい発音が全く違いますので、中国人でも長くそこで生活しなければ理解不能です。

実はわたくし、広東音楽好きなんですが、広東語やが分かっている方が多分、曲も理解しやすいんでしょうなぁ。
先生方にいわせると、「南方出身の子に北方の曲を弾かせると、コイツ分かってないなぁと思うことがある」(逆もあり)ということがたまにあるといいます。
ある北京の楽器屋の主人は、京胡を弾きながら「俺は北京人で、京劇はガキの頃から知っているから、俺が弾くとサイコーだろ」とわたくしに言いました(^^;
(スミマセン、わたくしには、最高かどうか判断できる能力がありません…)
日本語が全くできない中国人が純粋な日本の古曲を弾くと「あれ、変」ということがあるというのも多分、日本語を全く知らないというせいもあるでしょう。

まぁ、言語や生活習慣を知らないからといってその地域の音楽を綺麗に弾くことは一生不可能ってことは絶対ないと思いますが(わたくしなんて、ドイツ語知らないのに、年末にベートーベンの第九コーラスに参加したことあるし、ウィグル語できないのに、新疆の曲弾いてるし…)、ただ、知っている方が、ほんのわずかな努力で綺麗な仕上がりになるんじゃないかなってことはあるような気がします。
子どものころから身についているイントネーションやリズムとかは頭で考える必要ないですものね。

わたくしに日本の童謡や唱歌を弾かせると、下手なりに聴けないこともないとうのは、旋律が簡単だという理由以外に、わたくしの母語が日本語だという理由もあると思います。

じゃ、外国人でもなるべく手っ取り早く、中国スタイルを身につける術はないものか…
↓こういうのはダメかな?

なかでも、童謡を研究対象にすると面白い。童謡の旋律とリズムは最も言語に近いからである。
修海林・李吉提「中国音楽的歴史与審美」第二版、中国人民大学出版社、2008年、245頁。

ちなみに、わたくしは童謡大好きなので、中国人にたまに教えてもらいます。
職場はほとんど中国人なので、「游鯉さん、ちょっと教えてください」とかって若い中国人同僚に相談されると「相談にのるかわりと言っては何だけど、後で一曲、童謡歌ってくれない?歌ってくれないと教えてあげな~い」と本気で言っております。(職権濫用???)

二胡学習と考級について考える

「考級」というのは、グレード試験のことです。中国語で「考試」といえばテストのことで、「考」には確かに「考える」という日本語と同じ意味もありますが、中国語ではその意味よりも実力等を「試す」という意味が強い言葉です。

大人でも子どもでも純粋に「励み」として受ける方もいると思います。
また、外国人で受ける方は、将来、本国に帰った時に勉強したという証拠として残したいのかなと思います。

しかしながら、二胡の考級に関して思うのは、結局、X級受かりましたと言っても本当の実力は分からないのでは?ということ。
といいますのは…各校の試験によって、曲の配置が違いますよね…
譜面だけ見ると、ぱっと見ただけではさほど難しくなさそうなものがかなり高い級に入っていたりもします(おそらく、こういうものは、技術の正確性というより、表現力を評価するのでしょうか???)
それから、下記のような文章を読むとうーむ、と思うのです。
民族楽器の場合、西洋楽器の教育課程とは違って、まだ、きちんと体系化されてない、あるいは学者によって見解が分かれる部分が多いのかなぁ???

なぜ、考級教程は二胡学習の標準テキストとして使用すべきではないのか?
考級教程は考級活動の特徴に基づき、異なる難易度の練習曲と楽曲がこれに対応する級別に収録され、試験の要求を満たしています。それは、二胡教学の教程に基づいて編集されたわけではないので、訓練のステップ又は練習項目及び練習量のいずれから見ても、二胡学習の必要性を満たすことができません。もし考級の教程を二胡学習の標準テキストとして用いたならば、学習過程において訓練の穴を多く残すことになり、最終的に演奏レベルの「生煮え」状態を引き起こすことになるでしょう。このようであれば、たとえ考級教程に定められた練習を完成させて相応のグレード証書を取得したとしても、二胡学習者にとっては、意味のないことでしょう。
「二胡演芸」趙寒陽 人民音楽出版社 30頁

ちなみに、龍海先生(仮名。わたくしの一人目の二胡の先生)も似たようなことを言っておりました。
「単に証書が欲しいだけだったら、お前だったら、数か月で「良宵」、半年で「賽馬」くらい弾けるようにしてやるよ。でも、それだと多分、技術的に穴だらけになるし、その先の成長の見込みが全くないようないい加減な出来上がりになるんだよなぁ。そのあと、しばらく二胡弾かずにいたら、すぐゼロに戻るような感じ?結局、基礎からやり直さないといけなくなるだけだから時間の無駄かもなぁ。」

ははは、当時、半年で賽馬?ウソだろ、冗談きついよと思いましたが、「生煮え」でいいなら、器楽経験者など、可能な人もこの世に存在するのだろうなと思う今日この頃です(わたくしには無理ですが…)。
龍海先生も経験なくそんなことは言わないでしょうから、そういう要望に応えて速成させた学生さんがかつていたのでしょう、多分。

実際、系統的に練習してこなくても人前でそこそこ拍手をいただける舞台を務めることができるようになる人もいますよね。
でも、そういう人が音大の試験に通るのかというのはまた別問題なわけで…

例えば、趙寒陽が中学二年のとき、劉逸安先生(自分は文革のために上海音楽院の入学通知を取り消されてしまい、その後は自分の果たせなかった夢を弟子を育てることで実現しようとされた)に会わなかったら、多分、中央音学院の試験にパスするということはなかったのではないでしょうか。

それでまでの寒陽先生の先生はどうやら系統的に教えてくれる先生ではなかったようです。
寒陽先生が弾いた「良宵」「病中吟」を聴いて劉先生はまず「あなたの歩いている道は間違っていますね。このままだと、これで飯を食うことはおろか、有名になろうなんて夢のまた夢ですね。例えば、君が弾いた「病中吟」の外弦第一ポジションの1と2の指の間は半音ですか、それとも全音ですか?」とお尋ねになって、その質問に対して寒陽先生は「分かりません…」としか答えられなかったそうです。
参考:「二胡情縁」趙寒陽 中央音楽学院出版社 90頁

8歳から二胡を一生懸命習ってきて5、6年、皆褒めてくれるし、自分でもある程度のレベルはあると思っていただけにショックだったみたいです。
この段階で、矯正していなければ、今の寒陽先生は存在していなかったってことらしいです。このような話をきくと、正規の道を歩いてこなくてもある程度にはなれるけど、基礎をきちんと系統的に積んできた人とは大きな差があるんだなってことが分かります。

もちろん、わたくしは速成で曲を弾くことが悪いとは思っていません。
ちなみに中国の公園にいけば、そこそこ弾ける爺さんはごろごろいます(^^;
大人が系統的に勉強しても、今さら音大に入れるわけでもなし、別にそれで飯食うわけでもなければ、必死になってやってもしょうがないじゃんということもありますよね。
曲を楽しく弾いて皆で楽しめればいいっていう大人は多いはず。
大人にせよ、子どもにせよ、二胡を弾く目的が人それぞれ違うわけだから、自分の目的に合っていればいいわけですよね。

わたくしは、一生、弾き続けたいし、可能であればこの世のものとは思えない音に一度くらい出会ってみたいので、かなり無理をして、あたしバカよね~おバカさんよね~と思いつつ、地道に今日も音階練習をひたすらしております(別にこの歌を弾いているって意味じゃないですよ、念のため)。
また、何年か後、上手くなったら、可能であれば誰かに教えてあげたいので、そのための信用獲得手段として、証書は欲しいとも思っております。

二胡の音律に関する話

かつて、チューナーを敵のごとく睨みつけながら、二胡を弾いていたら、龍海先生がわたくしに言いました。
「あのね、たとえチューナーの針が真中に合うように弾けるようになったとしても、音楽的に綺麗に聴こえるかどうかは分からないよ

今思うと、「目に頼りすぎないで耳で聴いて覚えなさいよ」という意味だったのかなと思うのですが、当時、音律のことを言っているのかなと思い、いろいろ調べてみました。
そして、世の中には実にたくさんの音律が存在していることを知りました。
また、実際にはXX音律と名のついていない、だけど実際、皆やっているというようなものも存在していました。
例えば、次の文章が参考になると思います。

二胡の演奏は主として十二平均律(訳注:1オクターブを12等分した音律)とピタゴラス音律(訳注:純正5度を積み重ねることだけを利用した音律。) を混合使用した音律を採用していると思います。一般的に、多くの場合、十二平均律を主として、演奏中に短二度に遭遇した時、通常、ピタゴラス音律の短半音を、場合によってはこれよりさらに狭い半音を使用することで、より気持ちよく聴こえると思います。オーケストラの合奏で弦楽パートが和音を演奏する際、純正律を使用することができ、長調の音階のホ音及びイ音を少し低めにし、響きを純正にすることで調和がとれます。そのほか、二胡で特色のある楽曲を演奏する際には、現行の音律以外の中立音を採用することもできます。4を高めに演奏し、♮ 4と♯4の間にする、又は7(訳注:オクターブ下の低い7です。フォントの都合で表示できません…)を演奏する際、少し低めにして♮ 7と♭ 7の間にします。いずれにしても、実際の演奏中、状況に応じて臨機応変に運用することで、音律の美しさが音楽の中に再現されるのだと思います。
「二胡音階練習 改訂版」王国潼 編著 人民音楽出版社 6頁。

ちなみに龍海先生は昔、地元で大きな楽器屋に勤めていた頃、商品としてのピアノが周囲にいっぱいあったので、暇があれば中を開けて調律の練習をしていたそうです(おいおい、いいのか?商品だぞ。)。
もちろん自分のピアノは自分で調律していらしたようです。
で、先生曰く「計器だけ見て数字を合わせりゃいいってもんではない」のだそうで、最後はやはり耳に頼るのだとかおっしゃっていました。
龍海先生はわたくしの4の音が少し低めだとたびたび指摘してくださいましたが、今思うと、4の音というのは微妙なので、わたくしにはよく分からなかったのかとも思います。

そもそも、人間はどれくらいの音の差を感じられるものなのでしょう?
次の文章が参考になります。

音律美観における音の高さの微妙な変化は、実はとても些細なものです。一般的に8から12セント(十二平均律の半音は100セントです)であり、多くても16セントを上回ることはありません。測定してみると、耳の良い人であればロングトーンの演奏において、7セント程度は識別することができるようですが、メロディになると10セントがやっと感じられる程度です。従って、音律の美観というものは演奏者の音の高さの正確性が非常に成熟した基礎の上に確立されるものです。
「一句話学二胡」趙寒陽編著 藍天出版社 61頁

ははは…やっぱりね。
通常人には微妙な差は分からないってことじゃん。
試しに、メモリがきっちり合っている音を出しながら眼を閉じて、微妙に指をずらしながら、明らかに感覚的に違うと感じるところで眼を開けてみて、何セントのずれがあるのか見てみると、どんなに集中しても、15から20セントが限界みたいです。
メロディになったらほとんど分からなくなってしまうのでしょうね。

どうやったら、出来る限り正確に音の高さを把握することができるのでしょうか?
一つの方法としては、やはり正確な音階をひたすら聴いて、ひたすら弾くことを10年くらい続けることなのか?
大人には限界があるのは分かっているものの、それでも出来る限り何とかしたい…
よい耳の訓練法があったら、是非、知りたいものです。

柳琴きちんと持てますか5

なお、以下の引用部分は、孟憲洪先生と孟醒先生の許諾を得て、徐州孟宪洪柳琴制作中心ウェブサイト(www.mengxianhong.com)の掲示板より翻訳、転載したものであり、孟憲洪先生と孟醒先生及び翻訳者である萩原有里(游鯉)の書面 による同意なく、著作権法の定める適正な利用を超えるその他の利用はできないことをご理解ください。

先生、回答ありがとうございました。

わたくしが言った意味は、「琴の位置を上げると琴頭の高度が耳のあたりに近くなる」という意味で、本当に琴が耳にくっつきそうとの意味ではありませんので、心配しないでください。

そのほか、現在の支架は先生が何年も思考錯誤して完成したものだと伺っておりますが、残念ながらわたくしには本当に合わないみたいです。原因は多分、わたくしは背が高いだけではなく、腕も長いからかもしれません。そのほか、先生のように子どものころから琴を習ってきた人とわたくしのように大人になってからゼロから始めた人とは違います(先生のような子どものころから習っていらっしゃる人は、琴のバランスのとりかたを知っていて、成長とともに自然に微妙に調整していると思います。)ですから、ご迷惑をおかけいたしますが、今後ともよろしくご指導のほどお願いいたします。
わたくしは土曜日に出国します。北京に戻り、時間を見つけて徐州に行き先生にお会いしたいと思います。
その時はどうかよろしくお願いいたします。

【孟先生の回答】

こんにちは。
あなたは背が高いので、支架を長くするといいですね。
長身の人のために、私たちはよく長い支架を特別に作ります。徐州にいらしてください。
土日は私は学生に講義をしているので、都合があまりよくありません。その他の時間は大丈夫です。
来るときは事前にご連絡ください。

孟憲洪の柳琴その2

この記事は、中国のメーカー不詳粗悪楽器VS.柳琴の中国一といわれる製作所の演奏用最低ランク琴(つまりその辺のメーカーの高級琴よりも安い)の感想だということをご了承くださいませ。
機会があれば、そこそこのメーカーの高級柳琴や孟先生のところの練習用琴等をまぜて、複数の琴の比較すると面白いかも。

まずは、品(フレット)の数。
一般的に練習用の琴は24品、演奏用が29品のものが多いといわれていますが、孟憲洪制作中心のものですと、練習用の安い琴でも29品あるみたいです。
フレットの数が多いということは、さらに高い音域が出るということです。
そこまで出す必要がある、あるいは、そこまでの高音域でもいい音がでるということですかね。

次に駒。
孟先生の駒は余分に穴が4つあいていますね。
これと音色はどういう関係があるのでしょうか。

そして、おそらく音色にとても影響していると思われるのが、品(フレット)の接着面です。
通常のフレットは面板にべったりとすべて底が面板と接着されていますが、孟先生の琴には、明らかに隙間があります。
フレットの端っこの方だけが面板と接着されていて、真中に隙間があり、あたかも橋のようになっているのが写真だと分かりづらいかな~

ピック。
孟先生おすすめのピックはナイロンの変形六角形。初級者におすすめとか。
何ミリかは存じませんが、指で押してみた感じが、いつものウルテム0.8ミリより、ちょっとぐにゃっと感がきついかも。
他にもプロの演奏におススメとかいうピックは、変形三角形のようなものがあるみたいです。

そして、わたくしの琴の琴頭は、岫玉(しゅうぎょく)という玉がついております。
多分、舞台では可愛いく映えるから、こういう琴頭があるのかな?
装飾的効果を期待するものだと思います。
岫玉というのは、等級にもよりますが、大したことない石ですととても安いので、そこそこの綺麗な天然石という感じでしょうか(よく中国では大人気で高価って宣伝文句があるけど、等級次第だよなと思いますがねぇ…高級玉石というより中級玉石じゃないかな)。
琴頭の装飾はあんまり音色に影響しないでしょうけど、どうなのかなぁ。
例えば、二胡の琴軸に携帯ストラップみたいな可愛い飾りを付けている方もいるかもしれませんが、「琴に何かついていると音色に影響する」といって嫌がる人もいますよね(わたくしも、そういうことはしません。音の振動に影響が全くないとは思わないので)。

どうでもいいことですが、岫玉は「集中力・洞察力を高め、感情の安定を図る石」ということらしいので、舞台で最高の演奏ができるように助けてくれたりするのでしょうか(^^;

さて、音ですが、曲をアップすると下手くそなのがバレバレなので恥ずかしくてできません。
それに、曲によってイメージがくっついてしまうと思ったので、開放弦だけをアップしてみようかと思います。
なるべく、そのものの音が分かるようにと、適当に開放弦だけを軽く弾いたものをほとんど加工せずUPしてみました。

しかしながら、音は録音機器や収録場所の影響も受けるので、やはり自分で弾いてみないと分からないと思います。
そんなわけで、柳琴をやっている方には、やはり、どこかで一度、弾かれてみることをおすすめいたします。
ま、この響きがきら~いって人もいるかもしれないけどね(独特だしね)。
それはそれで、一度はこの音を生で聴いてみると面白いと思います。

聴いてみたい方は、以下のURLにアクセスしてください。
http://www.voiceblog.jp/youli/1165672.html

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