二胡の音律に関する話
かつて、チューナーを敵のごとく睨みつけながら、二胡を弾いていたら、龍海先生がわたくしに言いました。
「あのね、たとえチューナーの針が真中に合うように弾けるようになったとしても、音楽的に綺麗に聴こえるかどうかは分からないよ」
今思うと、「目に頼りすぎないで耳で聴いて覚えなさいよ」という意味だったのかなと思うのですが、当時、音律のことを言っているのかなと思い、いろいろ調べてみました。
そして、世の中には実にたくさんの音律が存在していることを知りました。
また、実際にはXX音律と名のついていない、だけど実際、皆やっているというようなものも存在していました。
例えば、次の文章が参考になると思います。
二胡の演奏は主として十二平均律(訳注:1オクターブを12等分した音律)とピタゴラス音律(訳注:純正5度を積み重ねることだけを利用した音律。) を混合使用した音律を採用していると思います。一般的に、多くの場合、十二平均律を主として、演奏中に短二度に遭遇した時、通常、ピタゴラス音律の短半音を、場合によってはこれよりさらに狭い半音を使用することで、より気持ちよく聴こえると思います。オーケストラの合奏で弦楽パートが和音を演奏する際、純正律を使用することができ、長調の音階のホ音及びイ音を少し低めにし、響きを純正にすることで調和がとれます。そのほか、二胡で特色のある楽曲を演奏する際には、現行の音律以外の中立音を採用することもできます。4を高めに演奏し、♮ 4と♯4の間にする、又は7(訳注:オクターブ下の低い7です。フォントの都合で表示できません…)を演奏する際、少し低めにして♮ 7と♭ 7の間にします。いずれにしても、実際の演奏中、状況に応じて臨機応変に運用することで、音律の美しさが音楽の中に再現されるのだと思います。
「二胡音階練習 改訂版」王国潼 編著 人民音楽出版社 6頁。
ちなみに龍海先生は昔、地元で大きな楽器屋に勤めていた頃、商品としてのピアノが周囲にいっぱいあったので、暇があれば中を開けて調律の練習をしていたそうです(おいおい、いいのか?商品だぞ。)。
もちろん自分のピアノは自分で調律していらしたようです。
で、先生曰く「計器だけ見て数字を合わせりゃいいってもんではない」のだそうで、最後はやはり耳に頼るのだとかおっしゃっていました。
龍海先生はわたくしの4の音が少し低めだとたびたび指摘してくださいましたが、今思うと、4の音というのは微妙なので、わたくしにはよく分からなかったのかとも思います。
そもそも、人間はどれくらいの音の差を感じられるものなのでしょう?
次の文章が参考になります。
音律美観における音の高さの微妙な変化は、実はとても些細なものです。一般的に8から12セント(十二平均律の半音は100セントです)であり、多くても16セントを上回ることはありません。測定してみると、耳の良い人であればロングトーンの演奏において、7セント程度は識別することができるようですが、メロディになると10セントがやっと感じられる程度です。従って、音律の美観というものは演奏者の音の高さの正確性が非常に成熟した基礎の上に確立されるものです。
「一句話学二胡」趙寒陽編著 藍天出版社 61頁
ははは…やっぱりね。
通常人には微妙な差は分からないってことじゃん。
試しに、メモリがきっちり合っている音を出しながら眼を閉じて、微妙に指をずらしながら、明らかに感覚的に違うと感じるところで眼を開けてみて、何セントのずれがあるのか見てみると、どんなに集中しても、15から20セントが限界みたいです。
メロディになったらほとんど分からなくなってしまうのでしょうね。
どうやったら、出来る限り正確に音の高さを把握することができるのでしょうか?
一つの方法としては、やはり正確な音階をひたすら聴いて、ひたすら弾くことを10年くらい続けることなのか?
大人には限界があるのは分かっているものの、それでも出来る限り何とかしたい…
よい耳の訓練法があったら、是非、知りたいものです。
游鯉さん こんにちは
音律は、難しいですね。ほんとに耳ってどう訓練したらいいんでしょうね。
いろいろネットで調べてみたりして、ヴァイオリンについて書かれてるサイトhttp://home.n05.itscom.net/grotta/violino2.htmlで
「要するに、音程を良くするためには、ピアノのような常に正確な音程の音を出す楽器または装置を使って、その音を繰り返し聴いて記憶すればいいと思います。もしも、あなたがピアノをお持ちでしたら、スケールを練習する前にそのスケールをピアノで何回も弾いて、音を覚えましょう。あるいは、チューナーを使って1音づつチェックするのもいいでしょう(ただし、市販のチューナーは高い音になると反応が鈍くなるようですが)。理想的なのは、誰かにピアノかヴァイオリンで音を出してもらってガイドしてもらうことですが、これはなかなかできないかもしれませんね。」
って、書いてありました。ただ、音があっているかどうか自分で判断するのは、難しいですよね。やらないよりは、ましかもって感じでしょうか。ちょっと、自分的にはひとまず棚上げにしとくことにしました(笑)。
やっぱり、ナナ先生の二胡の進み方いいですね。
DGF調の音階を第三ポジションまで、弾くなんて。
第一ポジションだけを、やるのはどうなのかって思っていたので。
だって曲を弾いていたら自然にオクターブ超えるのに…
(音階練習飽きたら、適当にサザエさんのテーマ曲とか、その時の気分でいろいろ弾いたりしてます(笑))
私もナナ先生についていきたいです。(龍海先生も魅力的ですが)
今までは、勝手に少年児童二胡教程のDGFC調(短い曲がいっぱいで、いいです。子供用は。数字譜と第2ポジションまでだいたい掴めたような気がする)をやっていたので、これからは王国潼先生の音階練習の本、買ったのでこれをしっかりやろうと思います。
「二胡演芸 知識500問」もあって、手ごろなサイズの本で、内容的にも1つの質問に10行ぐらいまでで答えが書いてあり、かなーり惹かれたんですが、まったく中国語はだめで、断念しました。游鯉さんに、ぜひぜひ翻訳してほしいです。数字譜の本は結構出版されるようになってきたけれど、二胡の事についての本までは、まだまだ出版はされないだろうなって思います。游鯉さんの気が向けば、たまーにでいいんで、ネットにアップしてくれると、うれしいな。
二胡をすると、やはり中国語少し勉強しようかなとも思ってきますね。
老級本の件ありがとうございます。
同じ曲でも違う楽譜があるので教える先生の好みで指定されるかもしれませんしね。
上海ので5~6級の曲が中央院のでは2~3級だったりして
「何故にこんなに程度の違う曲が ここに入ってるんだー」
って感じです。
劉長福先生のお好みなんでしょうが
一見弾き難い指使いの指定も何か装飾音を入れる為にされているのかも、
とは思います。
でも素人が理由を探るには難し過ぎます。(^o^;)
4の高めと7の低めの注意はよく受けます。
その曲固有の音程というより全般的に当てはまる事だったんですね。
バイオリン等はピアノの異名同音(ド・シャープとレ・フラット等)を
音程を少々変えて演奏されますから弦楽器には得意技なのかもしれません。
何処で これを活用するかは二胡曲に対する美的感覚を
磨かないと難しいでしょうね。
演奏を録音して聞き直し、気になる所の音程を考えて指の幅を調整し
それを咄嗟に使えるように固定する練習をすると
気持ち良い音楽的な音程で弾ける様になってくるんじゃないかとおもいます。
ので演奏家の方の音程・曲想の真似をして遊ぶ、っていうのも有効かもです。
曲全部は難しいから短いフレーズなどで そっくりさんごっこ!(笑)
ピアノの調律は鍵盤を弾いて 円を描く様に響いている音で聞き分ける様です。
なので曲中の短い音で判断するのは至難の業だと思います。
予め「こう弾いたら こういう音程になる」って分かっていないと。
きゅう さん、こんにちは~
そうですね、わたくしもやらないよりはマシかなと思いながら、せっせと音階を弾いております。
>>数字譜の本は結構出版されるようになってきたけれど、
>>二胡の事についての本までは、まだまだ出版はされないだろうなって思います。
>>游鯉さんの気が向けば、たまーにでいいんで、ネットにアップしてくれると、うれしいな。
ビジネスとして成り立つなら出版社も出版するんでしょうけどね…
出版社がお金くれるならどんどん訳して出版できるんですけどね(笑)
ネットにアップするのも許諾をもらっていないと著作権法違反ちゅう問題があるので、難しいところですね。
今のところ、わたくしは自分の話を書きながら、適切に引用しているつもりなので、まぁ大目に見てもらえるだろうと思っているのですが、実際のところ、外国語を翻訳するという作業が入っているため、そのまま必要な所を抜き出しているのと違いますから、「同一性保持」等の人格権問題もあって、厳格に言えばマズイわな、と思っております。
寒陽先生に会えるなら「許諾ちょうだいよ」ってお願するんですが(笑)。
くるみさん、こんにちは~
>>予め「こう弾いたら こういう音程になる」って分かっていないと。
そうなんですよね。
「予め予測している音」とか「心の中の音」いうのは演奏家の著書などを見ているとよく出てきますよね。
専門的に音楽をやってきた方はそれが分かっているので羨ましい限りです。
かなり歳をとってからでも何とかなるのかどうか…
多分、否定的な見解が多いかと思うのですが、先生がある程度は何とかなると信じている以上、自分も信じて練習しないわけにはいかないという感じです。
今のところ…(^^;