巴烏の可愛い音

ところで、巴烏はどんな音?
フルスみたいに、ぽわーんとした感じです。
誰でも簡単に音を出せます。
しかし音域はとても狭いです。
1オクターブ+1音(せまっ!)

巴烏は一般的にF調とG調のものがあります。
わたくしのバウちゃんはF調なので、筒音(穴を全部押さえた時の音)にいわゆる絶対音のC(ド)の音が出ます(移調楽器ですから、それをソと読みますが^^;)
従いまして、小学校で習ったソプラノリコーダーに感覚的に似ていますね。
巴烏には数字譜でいうところの4の音(つまり「ファ」)がありません。
F調の巴烏ですと、絶対音のB「シ」の音が抜けることになります。
1本の巴烏では3つの調を奏でることができます。
F調の巴烏を例に説明すると、筒音を5(ソ)として奏でればF調、筒音が2(レ)であれば、B♭調、筒音が1だとC調です。

その辺に転がっている童謡を奏でようとすると、やはり困るのが4の音が出てくる曲。
どうしてくれよう…
フルスも普通に指を開けていくだけでは4の音がないのですが、出そうと思えば指の組み合わせで出す方法はあるのです。
しかし、巴烏ちゃんには、ないらしい(どこにも説明がない)
あれこれ考えた末、適当に指を浮かせてやれば、なんだか変な中間音も出るのでアレンジしたらそれなりに聞こえないこともないので、ま、いろいろ手はあるだろう。
うまく移調して4を出さないようにできるのなら、そうしたっていいわけで。

巴烏の音が聴きたいって人は以下をクリックです。(お約束の曲ですみませんね^^; だって好きなんだもの)
<これが巴烏の音だっ!>

巴烏(ばう~)に浮気

今回ご紹介する怪しげな笛は「巴烏(BAWU)」です。

雲南省の民族楽器でございます。
この楽器には伝説があります。
ある女性が鬼に森の中へさらわれるのですが、女性がこの笛を吹くと、恋人がその音色に気づいて助けたというお話らしいです。
その二人の名前(男性が「巴沖」、女性が「梅烏」というのだそうで、1文字ずつ取って、「巴烏」なのだそうです。

縦型巴烏

相変わらず、楽器屋のお兄さんにいろいろ遊んでいただきました。
いつでも教えてあげるから、暇があったら遊びにおいでとよくしていただきました(^^;
吹きたい曲とかあったら、楽譜コピーしてあげるよとか言ってくれて、優しいなぁ。
実はぶっちゃけ、わたくしは笛子は別のお店のおじさんから買ったり、教えてもらったりするので、彼のところでは笛子以外の笛しか買わないのですよ。
優しいのは、彼はわたくしが笛子を含めていろんな笛が好きなことを見抜いているので、この先、いいカモになりそうだと思われているのでしょうね。
笛は調があるので、ハマっちゃった人は結局、何本も違った調の笛を欲しがるものですからね。
北京の新街口という場所一帯は楽器街として有名で、通りが左右すべて楽器屋なのですが、わたくしとしては、まるで繁華街を歩く男性のように、他店の女の子に浮気しているのが行きつけのお店の本命の女の子にバレないように…じゃないですが、他店の楽器屋のおじさんに悪いなぁと思いつつ(別に何も悪いことをしているわけではないのだが)こそこそ通りを歩いていたりして…

いや、だっておじさんもお兄さんもどっちも笛上手だし、どっちもわたくしに優しいからしょうがないじゃん(^^;

巴烏といえば、本来はリードのある横笛なのですが、わたくしが買ったものは縦に改良された巴烏です。
伝統的な巴烏を買うつもりだったのですが、なにせリード楽器なので、直接吹き口を口でがばっと覆わなくてはならないのですが、横に長い吹き口をがばっとしづらい。
おまけに、リコーダーのように後ろで親指を使って押さえる穴があるのですが、それが真後ろではなく、ご丁寧にも少し斜めについている。
わたくしはギッチョだから、余計なお世話なんだよ~~~穴をふさぎにくいじゃん(><)

というわけで、伝統的な巴烏ではなく、縦型巴烏を買いました。
噂では鍵をつけて更に音域を広げた巴烏が存在するようですがまだ見たことがありません。

あまりにも可愛い音を出すので、しばらく連れて歩きたいのですが(犬じゃないだろ)、8月2日から16日まで日本なので、荷物になるよなぁと悩んでおります。
(笛子は二つに分解してパソコンの隣りに放り込むだけなので、いつも連れて歩いてますけど)

(次回へ続く)

演奏と著作権

わたくしがここ最近、笛子やら洞簫とか、中国の民族音楽の笛にハマっているのはご存じのとおりです。

古典音楽や童謡等を演奏したい場合、このような楽曲は長い年月を経ているので著作権が及ばず楽譜などは採譜をされた方のネット等から簡単にダウンロードできたりします。

ところで、日本の古典といえば、「さくらさくら」でしょうね。
新婚旅行で行ったパリでは、日本語を話しながら歩いていたら、街頭ミュージシャンがそれまで弾いていた未知の楽曲をやめて「さくらさくら」を演奏してくださいました。

中国の楽器屋さんで日本人だとバレると、10人中8人が必ず演奏してくれる曲があります。
それは「北国の春」と「さくらさくら」

前置きはここまでにして、ここからが本題。

「四季の歌」というのはご存知でしょうか?
「春を愛する人は 心清き人 すみれの花のような ぼくの友だち…」と春夏秋冬続くあの有名な曲ですが、これは荒木とよひささんが作詞・作曲した作品で(聞くところによれば1971年に世に出て、大ブレイクしたのは1976年だそうですが、1964にはすでに存在していたようです。)、当然、著作権が及ぶので日本のウェブ等から楽譜を無償ダウンロードすることはできません。

わたくしは、初心者用の笛子の教材等をよく見る機会があるのですが、「四季の歌」はメロディが単純で、しかも音域的に初心者にとって非常に演奏し易しいため取り上げられることがあるようですが…どうやら一般的な中国人には、日本の民謡だと思われているようです。

民謡だったら、普通、作者不詳で作曲年なんかも大昔だから、著作権なんて関係ないだろうと思っているんじゃないかな。しかし、作曲してからたいした年月を経ていないのに国際的に民謡だと思われるほど浸透する曲というのは、すごいなぁと思います。

著作権というのは、私権なので別に権利者が権利を主張しなければ問題ないわけだけど…

しかしながら、パブリックドメインだと思っていたものが実は著作権の及ぶ曲で、そうと知らずに営利的な場で演奏して、後で指摘されたら怖いよね~

ちなみに、日本著作権法第38条1項、台湾著作権法第55条、中華人民共和国著作権法第22条第9号の規定によれば

①非営利目的で
②聴衆から料金を徴収せず
③演奏者に報酬が支払われない

のであれば、著作権者の許諾を得ることなく演奏できます。しかしながら、企業のショールームや商店の店頭などで演奏する場合などのように、全くお金を取らないとしても営利目的と判断されますから、注意が必要です。

そういう機会のある方は、あなたがクラシック又は民謡だと思っている曲が本当にそうかどうか確認しましょう(^^;

阿膠(アージャオ)

笛吹きのかばんの中身

質問の写真

さて、これらは何でしょう。
 :☆;。
   .’★‥
・*。・
    ☆。.
      .;*:
  ・’゜
★。..
:*:・
‘゜☆。
・’゜★.
.:*:・
‘゜☆。
.::
・.★:*:
*:・
。;.
     ☆。
。:・’
゜★。
*:・
‘.,゜☆
。*.
・,
.’*゜’
゜☆。.
  ..:*:・
  ‘゜。.
.. ☆。
:・’
   ゜★。
“.:*:・
  ‘*.☆.
.。.’‥’ 

回答の写真

答えは左から
愛用のリップクリーム「SAVEX」
(北京は乾燥しすぎです)

YAMAHAの「SLIDE GREASE」
(本来、フルート等の抜差し管等に使用するものですが、笛子の抜き差し部分が滑らない時使用します)

「阿膠(アージャオ)」
(本来、漢方薬ですが、わたくしは笛子の膜を貼るときに糊として使用します)

しかしまぁ、グリースとリップは形状が似ているので間違えそうですね。
「阿膠(アージャオ)」はチョコレートの板みたいな形状のものを適当な大きさに割ってからそのまま持ち歩き、先端に水をつけて笛の上をなぞってから、その上に膜を貼る人が多いのだと思いますが、わたくしは「阿膠(アージャオ)」の上に水を一滴落としてからその上を指でなぞって、どろどろしてきたところで、その指で笛に「阿膠(アージャオ)」をつけてから膜を貼ります。
何故そうするのかというと、わたくしの場合はその方が貼りやすいから。
前者のように貼るのが普通なのだと思っていましたが、ある楽器店の老師がかなり大きい「阿膠(アージャオ)」を何かの工具の間に挟んで机の上に固定していて、手を洗ってから、その洗った手をふかずに「阿膠(アージャオ)」をなでなでしているのを見てから、「あ、これいい」と思ったからです。ちなみに、北京はものすごく乾燥しているので、水の1滴や2滴、すぐに乾いてしまうため「べたべたしたでかい阿膠(アージャオ)をどこにしまっておくのよ」という問題はおこりません。
しかしながら、大きな「阿膠(アージャオ)」をまるで硯のようにして使うには、持ち歩きに不便ですよね。そこで、「阿膠(アージャオ)」は、少し熱を加えれば簡単に軟らかくなるものですから(そもそもこれは食べ物ですから加熱して問題はありません)、化粧クリーム等の詰め替えケースに入れて、携帯に便利なようにアレンジしました。

また、日本では水がその辺にいつもあるわけではないので、アトマイザー等で水を持ち歩かなくてはいけないようですが、北京だったら、しょっちゅう水やお湯を飲む習慣がありますから、どこにでも水があるので(あるいは水筒を持っていることも多いわけで)、アトマイザーで水を少量だけ持ち歩いているという人はいないと思います。
また、どうしても水がなかったら、自分の唾で貼っちゃう人もいるわけで。

ちなみに、膜を切り開くハサミも常時、携帯すべきなのでは?との疑問があるかもしれませんが、時間のあるときに全部、切り開いておくので、かばんに一緒に入れておく必要はありません。
しかしながら、わたくしはいつもソーイングセットを持ち歩いているので、いざとなればそのハサミを使えばいいだけですし。
(要はいちいちハサミを出すのが面倒くさい)

ちなみに、北京では女性がソーイングセットを携帯していることは稀なので、重宝がられます…いつぞやは、日本人の年配男性に「日本人の女性なら絶対に持っていると思って声をかけたんだ!」とかなり感動されました。
こんな些細なことで「大和なでしこ(?)」だと勘違いしていただけるなんて何だか申しわけないなぁ。

また、オリンピック期間中、飛行機の荷物検査が非常に厳しかった頃、ソーイングセットに入っていた小さな日本古来のにぎり鋏が検査で引っ掛かったのですが、検査員の若いお姉ちゃんは、「これ何に使うの?」って聞いてきたりして…

超一流のプロ演奏家がどうしているのか見たことありませんので、どうしているのだろうなぁと興味のあるところでもあります。

楽に高い音を出すコツ

日本の横笛、尺八、中国の笛子、洞簫、西洋のフルートなど、初心者が最初にぶち当たる壁、それは高音が出せないことなのではないかと思います。
わたくしも最初は全然、オクターブ高い音がだせなかったので、一生懸命フルートを吹く方のブログ等を参考にして、唇の形や舌の位置に関心を払っていて、かろうじてむりやり音を出していました。
理屈的に息の角度は高め、息の速度は速めにすればいいわけですから、唇の息の出る部分を小さくして、口の中で息の通り道を狭めれば自然に息の速度が上がり、高い音が出せます。
しかし、それはものすごく苦し紛れに出している音でした。

そんなわたくしに出された処方箋は以下の通り。
「唇、舌を低音の時と同じ状態で、絶対に動かさないで、お腹だけ使って高音を出してみて。」
そして、こうもおっしゃいました。
「肩や手を絶対に動かすんじゃないわよっ!」(先生は若くて可愛いくてオシャレな今時の女の子ですが、早口で結構、厳しい~。)
つまり先生の意図は、肩が動くというのは胸式呼吸ですから、腹式呼吸だけでなんとかしてみろということです。また、手を動かすなというのは、吹き口を内側に少し傾けたりすると息の当たる位置が変わり簡単に高音が出せますが、この場合、音色が悪くなりますし、ずっとその体制では指が辛いですから、そういうズルはしちゃダメよってことなのです。
(でも、フルートはもともと吹き口を内側に傾きぎみにセットするそうですよね?似たような楽器でもいろいろ違いがあるものですね。)

そんなの無理よと半信半疑だったのですが、お腹に力だけいれて、音を思いっきり遠くへ飛ばしたら、それが意外と普通に高い音が出るんですよね。
もちろん、口の形は音の高低に影響を与えますし、口の形を全然変えずに高音を出し続けるのは乱暴な話なのですが、これがきちんとできることが大前提で、口の形はその次なんですね。
目からうろこでした。

(故)趙松庭先生の「笛子演奏基礎教程」というビデオCDを拝見しましたら、やはりこのことについて面白い例えをしていらっしゃいました。
「低音の息は、太極拳みたいですね。“ふうー”、って感じでしょう? これが高音になりますと“ハッ、ハッ、ハッツ!!!”って感じでね、少林寺拳法なんですよ」
(ここで、おちゃめに「ハッ!」とおっしゃる趙先生…^^;)

分かります?
わたくしは大学生のころ、体育の授業で太極拳をやらされましたので(必修科目だったのよね)、あの「また~り」とした感じは分かります。そして高音になると、これでは全然だめで、中国映画のカンフーみたいなノリでお腹に力を入れて、「ハッ!」と叫ぶつもりで吹かないといけないのですわ。
日本の横笛等の大御所はどんな例えを使って教えるのでしょう?
ブラスバンド部のフルート担当の先輩は後輩に何といって教えるのでしょう?
低音は手を温めるような「はぁぁ」という息、高音は遠くのろうそくを「ふぅぅ」と吹き消す息だというのはよく使う例えのようですが、ろうそくの火を消すのに「ハッ」っていう気合は必要ないので、気づきませんよねぇ。十二楽坊の廖さんなんて涼しい顔して吹いているけど、お腹は「ハッ!」と気合が入っているなんて知らなかったなぁ。

実はこの類の入門講座の映像は俞遜発先生とか、曾明先生とかも持っていているのですが、趙先生の話し方が一番、楽しかったですね。
分野はまったく違いますが、中国知的財産法の権威、(故)鄭成思先生の話し方を思い出しました。大御所とか神様の如く一目置かれているご年配の教授ほど、勝手気ままに話しているように見えるのに、実は大事なことはちゃんと話していて、突然、突拍子もない比喩を使うのよね(^^;
だから日本語に訳しにくい…まともに字面だけで翻訳するとその面白さが全然わからなくなってしまう。翻訳者泣かせですね。
こういう音楽教材、機会があったら是非、訳してみたいわ。

歌からうかがえる文化

「阿拉木汗」という新疆の伝統的なメロディは日本でも知られていると思います(女子十二楽坊も演奏している)。
「ソ(低)レレレ ドレミ ファ~~~レ(高) ド(高)シラソ ファレ ミ レ」というメロディです。
わたくしは最近までこれを歌詞のない舞曲だと思っておりました。
演奏してみようと思って楽譜をネットで探していて、え?本当は歌詞があるのだと初めて知りました。
新疆の方の名前は音に漢字をあてるので、見たところ変な名前の人が多いわけですが、「阿拉木汗(アラムハン)」というのも女性の名前です。

で、この歌詞を見てビックリ。
聞くところによると日本の中国語講座などでも紹介されたことがあるらしいので、きっと中国語に関心のある人は結構知っているのでしょうね。

歌詞をざっくりとまとめると、要するに
「阿拉木汗ってどんな子?」
「太ってもいないし、痩せてもいないよ~眉毛は三日月みたいで柳腰でさぁ…(という話が続く)」
「阿拉木汗ってどこに住んでるの?」
「トルファンの(新疆地区の都市の名前)西360里のところでさぁ~」

何だかものすごくでれでれした男性(ある意味、こういう話をしている男性は可愛いですけど)の顔が浮かんできてしまった…

いつも変な男性に声を掛けられて困っている女性はこんどから
「ねぇ、名前なんていうの?」と聞かれたら「アラムハンよ」
「どこに住んでるの?」と聞かれたら「トルファンの西360里のところ」と答えたらいいかも。

現代社会でこんな曲を創作して公の場で歌ったら、本人からセクハラとかプライバシーの侵害で訴えられそう。

しかし、いつの時代、どこの国でも男性同士の美人の噂というのは必ずあるはずですから、日本にもこの手の民謡ってないのかな?

中国語の意外な(邪道な)上達方法

先日、街中の書店でCDを購入しました。そのCDは、洞簫という日本の尺八の原型といわれている中国民族楽器とピアノの合奏により、古典曲などが収録されたもので、発行は2005年とさほど新しいものではないのですが、なかなか素敵な音でした。

それとタイトルの「中国語の意外な(邪道な)上達方法」とどういう関係があるかって?

まぁ、そんなに結論を急がないで、話につきあってくださいな。
そのCDの説明文で蕭の演奏家陳悦さんがおっしゃっていることが大変、印象に残りました。
引用及び翻訳させていただくと…

「管楽器の演奏で最も重要なのは、息のコントロールです。ですから、管楽器は人の声に最も近い楽器と言ってよいのではないでしょうか。私は声の代わりに蕭と笛子、つまり東方の古い歴史をもつ楽器を用いて現代人の感じたことや心情を歌っているのです。」
中国唱片総公司出版 北京普羅之声文化伝播有限公司製作発行「乱紅」発言者:陳悦、執筆者:郭婷婷。

どこが、わたくしの興味を引いたかといいますと、笛の音は「人の声に近い」というところです。
横笛や縦笛は世界各国に存在し、日本にも篠笛や能管、尺八など蕭や笛子と似たような楽器があるわけでこれといって珍しくはありませんし、構造的に似ていると言えばフルートもこの類なわけですが、その演奏方法や表現の仕方を比べると、蕭や笛子は中国語っぽいうことを最近何となく感じているからです(感覚的なものなので、笛子と篠笛、蕭と尺八も似たようなもんじゃん、という方もいると思いますが(^^;)。

わたくしは日本のカトリック教会のミサに出ると正直、退屈でしょうがない…
いいか悪いかの問題ではなく、自分の性格にあっていないんですよね。
もっと楽しく「神様ありがとう~~~」って歌いたいのですが、日本語ではそうはいかない。
延々全音符にスラーな(わたくし的には)かったるいフレーズが続くのであります。

少し話がそれるかもしれませんが、うちの父方、母方の祖父母は熱心で敬虔な仏教徒でしたから、わたくしは子供のころはきちんとお経が読めまして(今は忘れました)、南無阿弥陀仏はかなり中国語的だと思います。(「なんまいだ、なんまいだ~」という単調なやつではなく、横に音程のような記号が書かれていて「なぁぁ~~~、あ~~~~あぁ、あみぃぃぃだぁ、あ~~~~あぁ~~~あっ、あっ、あっ、ぶうぅぅう」と時間をかけて歌のように読む非常に疲れるやつを指しています。読んだことありませんか?正式には何というのだろう…(^^;)

だからなのかもしれませんが、日本人の話す中国語は一般的に変かも。
超初心者の中国語は、最初はまず通じません(中国語には日本語にない音が多すぎるし、音を急に上げたり下げたりできないから)。

次に上達してくると、いかにも「日本人です」と名札の付いたようなカタカナ中国語だけど、内容が複雑でなければ中国人に何とか通じる中国語を話せるようになってくる。

そして、もう少し上達すると、「あんた、どこの出身?(どこの田舎から出てきたんや、こいつ…)」と尋ねられる訛った中国語が話せるようになります。
一部の音がやはり中国語のように発音できないか、四声を間違うからです。でも、前後の文脈で意味が取れたりするものです。そして中国は広いのでわたくしより標準語の発音が苦手な中国人も現にいたりするのです…ある中国人兄弟子は北京に来て何年もたつのに相変わらず発音が矯正できなくて「お前の方が標準語みたいだよな」と嘆いておりました。

そして、この次の段階になると、中国人アナウンサーのような中国語が話せる日本人も存在するわけです(このレベルの人はプロの通訳者でしょう。また、通る声できちんと人前で話す習慣があるため、声の大きい中国人と変わらないという感じ。)

最近、購入した電子メトロノームはチューナーもついているので、それで面白がって自分の声は十二平均律の絶対音階のどのあたりでしゃべっているのか気になって遊んでみました。
日本語ではわざと音域を狭くして棒読みしてもかろうじて意味は通じますが、中国語では音に高低をつけないとほとんど意味不明となります。「中国語って歌っているみたいだよね」とうちの旦那さんが言うのも頷けます。
しかも、中国人は声がでかくて、普通にしゃべるだけなのにこの人、腹式呼吸してる(?)って感じですよね。

それから、中国の笛には「花舌」といって、舌先又は舌の根元を震わせて、「トゥルルル~~~~~」と出す音があるのですが、これは聞くところによると西洋のフルートの技術にもあるらしく、これがどうしてもできない日本人がいるのだとか。
ちなみにこれを練習するとき、中国人はよく舌先を震わせる場合は「特冷」(超寒いの意味です。発音記号はte4leng3)を早く繰り返し言ってみろという教え方があります。確かにこれをめちゃくちゃ早く繰り返し言おうとすれば、舌が面白い動きをします。舌の根元を使う場合は「河」(発音記号はhe2)と言うつもりで息を強く入れてみると口の中で簡単に振動が起こります。ちなみに後者の発音は、夫に聞いたところによれば、ドイツ語にも同じようなものがあるそうです。ゴールデンウィークに夫が北京に来た時に二人で、「げろろろろろ~~~」と音を出してみて、あぁ似たようなものだねと確認しました。外国語ができない日本人には「ゲロゲロうがいをしながら笛を吹いてみたら?」というしかありません。日本語では通常、こんな音を出さないものなぁ。

先日、ある方に中国語が上手くなるにはどうすればいいかと聞かれたのですが、その時は、言わなかったけど中国語の意外な(邪道な)上達方法は、もしかすると音の上下が激しい歌を正確に歌うことなのでは?と思った次第です。
そして、道を歩きながら数メートル先の人にも聞こえるような大きな声で恥ずかしがらずに歌を歌えるようになれば、あなたも中国人の仲間入り。

「とっさの一言」はセリフの朗読ではなく、オペラを演ずるつもりで言ってみればいいのでは?

塤(つちぶえ)

この一輪ざしの花瓶のようなものは、実は笛です。
またまた怪しい笛を買ってしまいました。
塤(つちぶえ)

考古学者の考証によると、塤は先史時代に生まれたものだそうで、初めて出土したものは西安の半坡遺跡からとのこと。
ものすごーく長い歴史がある笛のようです。

聴くところによると、プロの演奏者は26音、二つのオクターブ以内の全部の半音と倍音一つを吹くことができるそうですが、わたくしはドから高いドまでしか出せません(^^;
しかし、遊んでいて、きつめに穴スレスレのところを吹くと、殺人的な超高音を出せることに気付きました。
(演奏には使えないね)
ペットボトルの口を吹いてぼわ~~~とかいう音を出す要領で音を出せばいいだけなので、だいたい音がだせます。
高くない楽器なので、遊んでみてはいかがでしょうか…

最近、変な笛シリーズになってきてしまった。
仕事の話をしなくては。

名古屋の和楽器店

名古屋にいるついでに、和楽器店をウェブで検索して、ヒットした「日野屋和楽器店」におじゃましてきました。
http://www.hinoyawagakki.com/
ミニコンサートなどもやったりしているようです。

ポケット篠笛という可愛らしい横笛を購入いたしました。
日野屋楽器店のポケット篠笛
これはドレミ音階が出ます。指と指の間がきちきちの究極のミニ横笛ってところですか。
もっとも演奏には不向きでお遊びですけどねとご主人もおっしゃっておられまして1オクターブしか音が出ません。
無理に出そうとしても音が割れてしまう…
でも、上手に吹いてあげるとオカリナのような音が出たりします。

いろいろな笛を吹かせてほしいとのわたくしの素人の好奇心とわがままなお願いを聞いてくださってとてもうれしかったです。
日本の篠笛は中国の笛子とそんなに変わらない感じ。
龍笛はなんつーか吹き口がでかいんで、それはそれで戸惑いますが、音は普通に出せました(でも独特の音階みたいですね)
尺八は吹き口が小さいので難しい…穴と穴の間が広すぎておさえられないぞーと思っていたら、穴を抑えなくて間を持つためだけの指もありっていうことで、あらら、と思いました。

ご主人は尺八の先生のようです。
店主/都山流・大師範山本多山 と書いてありました。
尺八も吹かせてもらいましたが、かすかに音らしきものが出ただけ。
やっぱり、吹き口が小さいので難しい。
ご主人と生徒さんに「尺八、いいよ~やってみない」と親切に誘ってもらいましたが、日本にいたらぜひ吹いてみたいものの、残念ながら習う機会が…
中国の洞簫(尺八の起源のようなたて笛です)ですと、よく絵画のモチーフとして美しい女性が吹いていたりするのですが、尺八って浮世絵とかにあったけ?

ま、それはいいとして、やはり「音を創る」笛というのはとてもその人の芸術性が表に出てくるので、面白い楽器だなと思っていたりする今日この頃です。

フルス(雲南少数民族楽器)

先日、フルスという瓢箪(ひょうたん)の下に竹管が3本刺さっている変な笛を買いました。
フルス
リード楽器なので、がばっと口にくわえて吹けば誰でも音が出る簡単な楽器です。
ぽわ~んとした艶めかしい音が鳴る変な笛です。
もともと雲南省の年頃の男性が女性に告白する手段として、気になる相手の窓の下で吹いて気を引いたという笛でして、かつて女性は触ることができなかったそうです。

リコーダーが吹けるならまず問題ないでしょう。
ただ、綺麗に吹けるかどうかというと少しコツがいります。
軽く吹くだけでは気の抜けたような音しかせず、指を動かしても同じ音しか鳴りません。
さらに強く息を吐くと無音状態になり、さらに強く吹くときちんとした音階が出せるようになり、さらに強く吹くとリードが壊れます(^^;やっちゃダメらしい。

残念なのは音域が狭いこと。
低音ミから中音のラまで(なぜか低音のファがないぞ!?)
笛子と同じように調ごとに楽器があります。
ありがたいのは、笛子のように思いっきり息を吸う必要がないこと。
通常の呼吸程度の息で足ります。
むしろ、息をあまらせると次に息が吸えないし、息が余ったままうっかり気を抜くと、その瞬間、本来の気の抜けたような音が混ざってしまい、語尾にプッと変な音が混ざります。
ちなみに、笛子よりもマイルドな音で大きな音が出ないので部屋の中で吹いても近所迷惑にならないと思います(大きな音やかん高い音の出しようがない)

フルスはヒョウタンがプラスチックでできたものであれば、すごく安いでしょう。
附管のふたを開けると和音が鳴るのですが、左管だけ或いは左右の附管からも和音が出せるかによって値段も違います。

買った際に、楽器屋のお兄さんが「月光下的鳳尾竹」を自主的に教えてくださいました。
たぶん、楽器をほとんど値切らなかったので、まぁ、個人レッスン代込ってところでしょうか…

江蘇音像出版社出版、南京先恒音楽唱片有限公司制作発行「吹好葫蘆絲」というフルス入門DVDは笛子奏者の曾明さんが基本を解説してくれた後、代表的な曲の指南、実際の演奏が収録されていて、これがなかなか分かりやすかったです。
(でも字幕ないから音楽の知識が多少ないとすべては理解できないかも)
しかしながら、中国語ができなくても、おまけについている中国式数字譜が読めなくても、音域がせまいので演奏技巧を別とすれば単純なメロディばかりが続くので、はっきりいって、耳のいい人はそのまま耳コピできるし、耳に自信がない場合でも、目で見てそのまま真似すれば吹けないこともない…

どうですか、今宵、彼女の部屋の下で吹いてみては?
(余計に迷惑がられるか???)

Ringbinder theme by Themocracy