中国楽器たち

実は、笛子のお稽古に行き詰っていたりします。
基本中の基本、腹式呼吸がうまくできないので(正確には胸式と腹式を合わせた複合呼吸)、どんなに練習したって上手くなりようがないのです。
昔から身体的な意味で、呼吸器官が弱いせいもあり、ただでさえ肺活量もないのでよほど息をきちんとコントロールしないと息が続かない。
フルートや篠笛を吹かれる方なら分かると思いますが、笛子は大半の息が外へ流れていってしまうので、高音域を吹く時なんかはものすごく息がいるのです。
結局、人に聴かせてあげられるレベルに達する以前にリタイアか、なんて思いはしめております。

もともと楽器にさわるのは好きですがモノになった試しがない。
つーことを考えると短期間の集中力はあるくせに、単に飽きやすいだけで、止める口実をさがしているだけかもしれませんが。
吹きものがダメなら別の楽器に挑戦してみようかなとか思い始めて楽器屋をブラブラ。

ある総合楽器店のお兄ちゃんがわたくしを見つけて、「笛は上手くなったかい?」と声をかけてきたので、「簡単なメロディなら遊びで吹けるけど、難しい古曲は無理よ」とサラリとかわして、あれこれ他の楽器に触らせてもらいました。

なぜか、このお兄ちゃん、いつもわたくしに会うと「古箏」をすすめるのです。
古箏とは、日本の琴と基本的に似たようなものです。中国で「琴」といえば古琴を指し、琴柱がなく、弦も7本という比較的小さい楽器(映画、レッドクリフの中にでてくるそうですし、孔子も愛好していたとかって伝えられていますよね)なのですが、古箏には琴柱があり、弦の数もやたら多くて20数本あって大きいものです。)

どうして、お兄さんはいつも古箏をすすめるのか、今度聞いてみたい。
女性客には必ずすすめているのだろうか?
お兄さんは個人的に琴を弾く女が好きなのか?
それともわたくしと古箏は似合う?
(まさかね)
この店では古箏が売れ残っているのか?
(確かに古箏特売という広告はどこの店でも多いなぁ。売りにくいのかもしれない。)
日本だったら和楽器屋で素人外国人に琴をすすめるかなぁ?

特価製品なら古箏を1000元ちょいで買えなくもない。日本では一万五千円で琴は買えないよね。
と思わず買いたくなったけど、夫の「あれは場所をとるからダメ」という言葉を思い出し、断念。

彼いわく「30分、毎日練習すれば、一か月もありゃ、ある程度、古箏は弾けるようになるよ」って言うんですけど、本当かよ(^^;
でも、確かに「ゼロからスタートする古箏」とか「大人のための古箏」というありきたりなタイトルの教則本がいっぱい出ているので、大人でも比較的早くそれなりに聴かせられる程度にマスターできる人もいるのかもしれません。
そういやぁ、よく公園で老人たちが教えあいっこしているのを見たことあるなぁ。
大人というか定年退職後の趣味として人気があるのだろうか。

「古箏は大きいし高いじゃん」とそっぽを向いたら、中阮とか柳琴をすすめられました。
「ギターが弾ければ簡単よ」とのことですが、わたくしはギターに触ったことがない。
お兄さんの演奏を見る限り、確かにギターと同じ感じです。

「月琴だったら触ってみたいのだけど」と言ったら、お兄さんに言わせると「一人で弾くのには寂しすぎる、独奏向きじゃない」とのこと。
月琴とは満月みたいな本体をしているギターみたいにつま弾く楽器です。月琴って中国では京劇の伴奏に使われている楽器なのよね。
日本では最近じゃ、なんとかっていうマンガの主人公が弾いているとかでオタクや腐女子の間でひそかなブーム?といううわさもある。
だから多分とっつきやすい楽器なのだろう。
聞くところによれば、「ウクレレできたら、月琴も簡単」とか。

お兄さんが「中国楽器も和楽器も似たようなものだろう?」と話を振ってきたので、「月琴は日本の清楽で使われていたし、100年前だったらフツー女性の間で流行していたらしいよ」と教えてあげたら「へぇ~そおなんだ」と感心していらっしゃいました。

「外国人は皆、二胡が気になるのに、君は無関心なんだね」とお兄さん。
「蛇は嫌いだって毎回、言ってるでしょーが」とわたくし。
ついでにいうと、弦の間に弓が挟まっていて、それがバイオリンなんかと違って煩わしいから奏でてみようという好奇心がわかないのである。
弦が二本というのも少なすぎで何かいやだ。4本くらい欲しいぞ。

琵琶が気になったので「琵琶、難しい?」と聞いたら「ちょっと大変」と言われました。
これは誰にきいても「簡単」と答える人はいない。
皆、首を揃えて「琵琶はちょっと…」とか「琵琶は生涯勉強」なのだという。
やっぱ、相当難しいんだよね。
中国琵琶の奏法を見ていると、日本の琵琶と違って5本の指が忙しく動くものね。
でも、そう言われるとますます触ってみたい…

結局、「今日はお金持ってないから、よく考えて出直してくるね」とウソついて、遊ぶだけ遊んでお店を後にしたのでした。

あぁ、もう少しお店にいたら、多分、古箏か琵琶を買って出てきたかもしれない。
やば…
仕事や研究が行き詰っているから、現実逃避なんだろうね、きっと。

2 Responses to “中国楽器たち”

  1. yuri より:

    はじめまして。
    日記拝見させていただきました。
    大変興味深く読ませていただきました。

    私は古筝を二年間勉強したのですが、案外簡単に弾けてしまいます。
    ただし両手爪になると難しいです。
    もしかしたら二胡よりも簡単ではないでしょうか。
    私が、心揺さぶられるのがやっぱり琵琶ですね!
    中国人の知り合いに聞くと、二胡は100日、琵琶は1000日と言われるど、難易度が高い楽器だそうです。

    私も将来、琵琶を学んでみたいと思っています。

    では。失礼いたします。

  2. 游鯉 より:

    yuri さん、こんにちは。

    コメントありがとうございます。
    古筝の音、綺麗ですよね。
    置いておく場所や、持ち運びの便宜を考える必要のない環境にいたら、多分、習っていたと思います。
    あぁ、わたくしがものすごく笛が上手だったら、ぜひ、一緒に合わせてほしいと思う楽器です。

    でも、どの楽器にもその楽器特有の難しさというものがあるのですよね…
    ある方は擦弦楽器はどんなに頑張っても全然上手くならなかったけど、管楽器はぐんぐん上達するんだよねと言っていました。
    人間、それぞれ得手不得手ありますよね。
    かと思えば、わたくしの柳琴の先生のように、たいがいの楽器はそれ専門の人のレベルには及ばないけど、何でもいけちゃうマルチな方もおられて、羨ましい限りです。

    琵琶はやってみたいのですが、皆に止められたし(不器用なわたくしには無理そう)、当分、やらないと思います。柳琴が上手く弾けるようになって、中阮もさらっと弾けるようになったあかつきには、こっそり触ってみたいとは思います(^^;

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