笛膜について
中国笛子と日本の篠笛の最大の区別は、笛子には、吹口と指孔の間に膜孔という穴があいていて、そこに薄い膜(竹や葦の皮)を貼ることで独特の音が出るということではないでしょうか。
葦の皮が一番いいとか言われているようです。
笛膜に関して、よくある疑問を一問一答しましょう(^^)
わたくしは笛子については、初心者の中でもかなり初心者ですが、中国語ができるので自分の経験やお兄さんやおじさんに教えてもらった知識をおすそわけしたいと思います。
日本人は知らない人にむやみに話かけませんが、中国の場合、外で笛子を吹いていると、興味のあるおじさんが、話しかけてきたりするのです…
Q1 膜穴をあけたままでは音がでませんか?
A1 よく、何も貼らないと音が出ないと聞きますが、出ますよ…
ただきちんとした音階が出せるかどうかは別問題ですが。
そもそも食べ物のちくわに穴をあけただけでも音が出せますから、穴の1個や二個多いからって、全然、音が出ないってことはないでしょう(^^;
Q2 膜穴にセロテープ貼ってもいいんですよね?
A1 そりゃ構いませんが、独特の音は出ませんよね。だったら、日本の横笛を買えばいいのでは、と思ったりして。。。ただ、近所迷惑を考慮してわざと音が響かないようにするためにセロテープを貼って練習する人もいるそうです。セロテープは分厚いですから、あまり響きません。きちんと正しく膜を貼って、防音措置のない狭い部屋で思いっきり笛子を吹くと、大きな音が響きます。
楽器屋さんが真剣に笛子を売ってくれる場合は、セリテープや古い笛膜のままで試聴や試し吹きをさせることは絶対にしないでしょう。
本気で買いにいけば、その場できちんと笛膜を貼り替えて、最善のコンディションで試し吹きをさせてくれると思います。
Q3 膜を貼るときに何をノリとして使いますか?
A3 わたくしは阿膠(「アージャオ」とよく日本語では表記されますが、中国語の発音はアではありません。オの口をしたまま、エと言えば近い発音になります)を使います。もちろん事務用品のノリでもくっつきますけど、なぜ、阿膠がいいかというと、後で微調整ができるからです。膜を貼って乾いた後でも、きちんと貼れていなかったと思えば、上からはぁ~と息を吹きかけて(寒い時に手をはあはあする感じですね)膜を横から引っ張れば、たるんだ膜もピンと伸びます。ピンと貼らないと変な音がしますし、張り過ぎても音がこもってしまって、これは慣れるしかないでしょう。
ちなみに阿膠は栄養補助食品的な漢方薬です。ですから、手元に水がない時なんか、水で溶かす代わりに、直接舐めて自分の唾で貼ったとしても、人体に影響はありません(人前でやると、ちょっとね、っていうだけです)。
同仁堂のような漢方薬店に行けば買えますが、食べ物ですから一箱に大量の阿膠が板チョコみたいに詰まっており、小さい箱でも100元くらいします。そんなにたくさんあっても使いきれないし高いので、後は漢方薬として使用するつもりで買うか、最初から使用目的を告げて1片だけ売ってくれと交渉してみればいいでしょう。
ちなみにわたくしは、欠けたものを、その重量分だけの値段で売ってくれと試しに言ってみたら、ちょうど割れた商品があって、5元でわけてもらいました。写真は商品として1片にも満たない欠けた阿膠でして、数年は使えると思います。
阿膠以外にノリとして民間でよく使用されるのは、ニンニクらしいです。
わたくしは使用したことがないので使い勝手がよく分かりません。
笛子を専門に吹いている方は、阿膠が一番よいとおっしゃいますし、楽器屋は普通に阿膠を使うでしょう。
Q4 笛膜にはいろいろブランドがあって、それぞれ値段も違うけど、どこのがいいの?
A4 わたくしにはどこがいいっていうのはよく分かりません(^^;全部使用してみたわけじゃないですから。
ただ、上手に吹ける方に聞くと、意外にも一番安い某ブランドがお薦めだって言うのですよ…薄くて使いやすいって。
笛膜は筒状になっているため、通常はカッターで横を切って開く必要があるのですが、最初から切ってあるものもあります。左が切ってあるもので右が筒状のものです。
一包がだいたい3元から10元です。ネットの書き込みでは30元というブランドもあるらしい(本当かどうか知りませんが)。
普段は3元でもいいけど、検定試験で吹くなら10元だろっていう人もいますしねぇ。
でも、わたくしの感覚からしたら、きちんと貼って、上手な人が吹けば、3元の笛膜でもかなりいい音です。
日本の中国楽器店ではそもそもそんなに種類がないかもしれませんよね。
日本の和楽器店で売っている明笛の笛膜は材料が何か分かりませんが応用がきくのでしょうか。誰か教えてください(^^;
Q5 笛膜の貼り方がわかんないよう~
A1 十三堂楽器店さんのウェブで詳しく紹介されていました。さすがだな~
http://www.13do.com/page/13
お土産用の笛を持っているけど、貼り方がわかんねぇよって日本人は多いのではないかと思います。
きちんと貼れてきちんとした音色を出している人の貼り替え作業を見る機会がありませんものね。
せっかくある膜孔なんですから、やはりセロテープじゃなくて笛膜を貼ってあげて、どかーんと響く音を体験してみてはいかがでしょうか(狭い部屋で吹くと耳にキツイのでご注意を)