演奏家の魅せる技術?

本日は笛子のお稽古1回目でした。
先生は男性だと伺っていたので、退職した爺さんだろうと思っていたら、若者でした。
しかも、ビジュアル的にかっこいい範疇に入るのではないかと…だから驚きました。

そもそも音がでるだけのレベルで何も曲が弾けないど素人のわたくし。。。
本日、唯一ほめられたのは「指長くていいね(楽器演奏時、かなり便利でしょうの意)」ということでした。
肝心の笛の音色ですが、わたくしはまだまだ、人に聴かせる曲が吹けるレベルではありません。
でもいつか、人前で吹いてみたいものです。
しかしながら、部屋の中で大きな音をだせないのに、毎日少なくとも30分は長音(同じ音を10秒くらい出し続ける)を吹く練習しろとのことなので、河原にでも行って人前で吹くより仕方がありません(^^;恥ずかしい。

ちなみに先生は子供のころ、やはり外で吹いていて、冬になると笛から垂れた水滴がつららになったとのことです。
手も冷たくなりすぎるし、練習になるのかいなと思いますが、そこまでして練習しないとモノにはならんといのが音楽というものなのかもしれません。

先生はこれといって持ち方や姿勢についてうるさく言わなかったので、こちらから前々から疑問に思っていた持ち方や姿勢について質問しました。
そしたら、先生、ものすごく熱く語ってくれました。
さすが戯劇院の出身だけあって、先生は相当ビジュアルやイメージにこだわりがあるようで。
「昔はとにかく綺麗に曲が吹ければそれでよかったかもしれない。でも、今や音楽は人に観てもらうものでしょう?私たちは演奏演出するんです。どんなにいい音だしても、みっともない顔や恰好で吹いちゃ、ダメだ」
「うまい先生の中にはひどい顔して吹く人もいるけど、カッコ悪い」
とのことです(^^;

確かに先生は顔もいいけど姿勢もいい。
どう立ち振舞ったら、どう見えるのかよくご存じです。
(舞台演出の基礎なんでしょうけど)
演奏家にだって見た目へのこだわりがあるのだということを、強烈に身近に感じた瞬間でした。
そういえば、指揮者のカラヤンなんて、映像を撮られるとき、ものすごいこだわりがあって、汗とか流れているのを撮られるのはダメだとか、こっちの角度はダメとかいろいろ、禁止事項がいっぱいあったって聞いたことがあるような…

演奏家は、法律的には「実演家」として「著作隣接権」を享有することになります。
でも、日本著作権法によれば、著作者の人格権は「意に反する改変」が禁じられているのに対して実演家の人格権は「名誉・声望を害する改変」だけが禁じられているので、実演家の同一性保持の範囲は著作者のそれより狭いことになります。
何か、ちょっと不公平だなという気がしなくもありません。
著作物を創作することはすごく大変なんだけど、それを伝達する者だって相当大変なんですよね。
わたくしはよく翻訳をするので、なんとなく実演家の気持ちが分からなくもありません。
誰が翻訳したってだいたい同じでしょってな感じで二次的著作物に対する評価は低いですが、翻訳も本気でやれば原作創作と同様に知的活動してると思うんだけどなぁ。
演奏だって、誰がやっても同じじゃないですよ。
わたくしには奇怪な癖がありまして、同じものばかり数日食べ続けたり、同じ曲だけ数日聴き続けるということがあります。
だからAオケのBという曲ばかり1週間聴き続けたのち、別のオケの同じ曲を聴くと、何か違うってありますよね。
(わたくしには指揮者のように、どのパートのどこそこが違うとか指摘することはできませんが、あ、ここ速い、遅い、何か違うっていう程度に気になります)

ちなみに中国著作権法によれば「実演家は演出イメージを保護し歪曲されない権利を有する」とあります。

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