芸術感染力

日本語で「感染」といえば、
「何らかの原因で微生物の一部または新たに外界からの微生物が、宿主(しゅくしゅ)となる生物にその対象となる微生物が本来はいないはずの部位に侵入・定着した状態をいう。生態学的には寄生の形のひとつである。」
(参考:ウィキペディアhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%84%9F%E6%9F%93)

中国語の「感染」には、日本語と同じ意味も当然あるのですが、もうひとつ、意味があります。
「影響力」とでも「感化」とでも訳せばいいのでしょうか。

以前、于紅梅先生の二胡コンサートを聴きに行って、
「甘い匂いが漂ってたような気がする」とナナ先生に言ったら
「感染しちゃったのね」と言われました。
耳で聴くはずの音楽に匂いが漂うという経験をしたのは、この時が初めてでした。
曲の内容が美少女だったからなのか…お年頃の女の子の甘ったるい匂いを感じちゃったんですよね。
(別に会場で誰かがお菓子食べてたわけじゃないよ(^^;)

そして、器楽のレッスン中にもたまに言われます。
例えば、先日、三弦のレッスン中に、本来、ず~っと余韻が続かなければならない音なのに、私の弾きが弱かったせいで音が途中で消えてなくなっちゃったんですよね。
そしたら、先生一言、
「実際には音が消えてなくなっていても、弾き手の心に音が流れていれば、聴衆も感染されて聴こえるものだ」
ひょえ~~~
それはずごいですね(^^;
聴こえない筈の音が聴こえるって、怪奇現象???

そもそも、「音楽を感じる」ってどういうことなんでしょうね。
もちろん作曲家や弾き手のイメージがそのまま聴衆に伝わるはずもなく、何の先入観も与えずに単純に音楽だけ聴いてもらった場合、
受けて手は多種多様なイメージを持つ筈です。
文化的な背景の違いからイメージが異なることもあるでしょうね。
楽しそうな、とか、哀しそうな、とかいうのは世界各国、割と共通点が多いのかもしれませんが、例えば低音男性の声を聴いて、欧州人は「神々しい」とか感じるところで、中国人は「悪人が出てきたか」とかいうイメージになると聞いたことがあります。

結局、音楽って音になった瞬間から、好き勝手に独り歩きしちゃうわけだけど、
ある種の才能を持った人が音楽を奏でると、聴衆に寄生しちゃう…

本来、ない筈の音が聴こえて、本来ない筈のものが見えたりする。
音楽ってほんと、抽象的で難しいですね。

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