古琴芸術鑑賞

「古琴」というのは琴柱がなくて7本の弦が張ってある琴のことです。
日本語の「お琴」はいわゆる琴柱があって、本体が大きめの「筝」も含んだ概念として使用されてますよね。
ちなみに中国語の「琴」は、日本語でいうところの「お琴」以外にもありとあらゆる楽器を指す言葉になってしまっています。
例:鋼琴(ピアノ)
  胡琴(二胡や板胡等の楽類)
  口琴(ハーモニカ)
  小提琴(バイオリン)

そのようなわけで、七弦琴のことを昔は単に「琴」と言っていたけど、今や他の楽器と区別がつかないために「古」を前に付け加えて「古琴」と呼んでいるわけであります。

12月3日、国家大劇院
古琴芸術講座に行ってきました。
講師は中央音大の趙家珍先生。
先生、講座の広告用の写真が可愛らしく笑っている写真だったので、いったいお幾つなのかなと思っていたのですが、教学30年とかって言ってましたからね…
しかし、舞台に立つ人は本当にあまり歳を感じさせないんですよね。

「会場から自分の演奏を披露してくださる人いますか」との問いかけに、ある女の子が挙手したので、さっそく先生は「じゃあ、小朋友こっちへどうぞ」と。
「小朋友」というのは小学生くらいの子どもに対する呼びかけです。
しかし、そのお嬢さん、見た目、あまりにも落ち着いていて、年増っぽいので、私の後ろに座っている男性2人がひそひそと「ありゃ、子どもじゃないだろ?」とつぶやいていました。
しかし、現実は本当に子どもで中央音大附属の中学一年生だそうです(^^;
古琴といえば、孔子が愛していただけあって、学問的には難しくって、音色的にも子供が楽しむような類の楽器じゃないからか、お嬢さんは12歳で20歳以上に見えてしまうぐらい精神的に成長してしまったのでしょうなぁ…

先生が最後に演奏してくださったのは、いわゆる現代曲で「春風」という新疆テイストの曲でした。
新疆手鼓との合奏であります。
私は弦をはじく類の楽器と打楽器、特に新疆の手鼓等はとてもよくあっている組み合わせだと思っています。
琵琶の呉玉霞先生もよく打楽器と合わせていますね。
(ちなみに、わたくしも新疆手鼓を所有してます。わたくしのはニシキヘビ皮じゃなくて羊皮なので安いけど~)
この春風という曲は、本当にこれ「古琴」?と思う程、音色的にもリズム的にも古琴のイメージをぶち壊してくれます。
まぁ、日本人的には中国の古き良き時代の「古琴」のイメージを壊さないでくれた方が受けるのかもしれませんが、中国人的にはきっと「西洋楽器にもまけないくらい表現力あるんだからね、これでもか、これでもか~」というのを見せつけたいのかもしれません(^^;
先生の「琴韻水墨」というDVDに収録されているし、あちこちでよく披露されるようなので、一度、聴いてみてぐぁらぐぁらと古琴のイメージを壊されてみるのも面白いかもしれません。
日本人が知っている古琴らしいかどうかという問題を別にすれば、新疆情緒あふれるとても感じのいい曲です。

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