孟憲洪の柳琴
日曜日、先生とデートしました(もちろん、冗談です(^^;)。
正確に言うと、北京のある楽器屋に孟憲洪制作の柳琴が置いてあるとの情報を得た先生が、「今日の夕方、予定がないのならこれから見に行こう~」とショートメッセージを下さり、さっそく、楽器屋さんに行ってきました。
先生が新街口(北京の楽器屋街)の楽器屋さんでの仕事を早めにあがるというので、新街口付近のバス停で待ち合わせて、琉璃廠(ここは骨董街として有名かもしれませんが、ここにも民族楽器店が集中しております)へ行ってきました。
店に入って壁にかかっている孟憲洪制作の柳琴を見つけると、それを弾かせてちょうだいとお願いし、他にも在庫あったら、全部出して見せてよとお願いして、合計3つの琴を弾き比べました。
お店の人は、こちらの目的がはっきりしており、ど素人じゃないと判断したのか、全然、こちらに構わず別のお客さんの相手をしているため、完全に先生とわたくしの2人の世界。
そして、先生は仕事中に二胡で手を怪我しちゃったとのことで、「俺、今弾くの辛いから、お前、自分で勝手に弾いて遊んで、どんな感じか確認しろ」と。
ぎょぇ~先生の手のひら、えぐれてる…痛そう。
そこへ小さな女の子を連れた夫婦が来店。
どうやら、子どもに何か楽器を習わせたいという目的で、知識を得るために来たらしい。
女の子、何だかんだといろいろ楽器に触れてあそびつつ、わたくしが童謡弾いて遊んでいるせいか、たま~にこっちを見るんだな。
「ごめんよ~おばちゃん下手くそでさぁ…」と心の中で謝りつつも、弾くのやめないもんね。
柳琴ってそんなに広く知られている楽器ではないようので、まず「あれは、何?子どもがやるとしたら簡単かな?」と指を指されて、店員さんに聞く人が多かったりする…(いつものことだけど、指を指される方としては恥ずかしい)
「わたくしでも弾けるんだから、あなたの子どもは楽勝だと思う」と心の中で言ってみるのでありました。
さて、本題の音色ですが、やっぱり「柳琴といえば、孟憲洪」と言われているだけあって、とてもよい音でした。
…これじゃあ、食べ歩き番組で「おいしい~」としか言わないバカ娘と同じですね。
言葉にするのは難しいのですが、自分の練習用の琴と比べ、一言で言うなら「月とスッポン」でした。
もっとも、中国一最低な琴と比べているので当然と言えば、当然かもしれませんが(^^;
何といいますが、音がよく響きました。
一つの音の中に、いくつもの音がつまっているというような感じを受けました。
そして、その音が気持ちよく、スカッと響き渡る感じです。
楽器屋のお決まりのセリフは「その辺の北方のメーカーが作っている琴とは音が全然、違うでしょう?南方の繊細な音がするでしょう?」
そして、手の感覚的には、とても弾きやすかったです。
おそらく、通常、楽器屋に展示されている安物の練習用の琴は品(フレット)がいい加減に出来ているものもあって、ものによっては音程が狂っていますし、ちゃんと押さえているのに、音がきちんと出なかったりするものもあります。
(再度言いますが、まぁ、そんないい加減な琴と比べるのは論外かもしれませんね…)
そして、わたくしは往々にして「右手の力が足りないから、きちんと音楽になってない!」と叱られるのですが、品質の劣る琴だと、弱弱しすぎる弾き方では、琴がきちんと音を拾えず、音楽とはいえない音が出ることが多いのですが、孟憲洪の琴ですと、弱弱しい動きまでもきちんと拾い出して、綺麗な音色に変えてくれるような気がしました。
ということは、上手い人が弾いた場合、荘厳なフォルテシモ、繊細なピアニッシモが本当に演奏者の思い通りに綺麗に表現できるのではなかろうかと想像しました。
そして下手な人(わたくし)の場合、多少、指の力が足りなくても、琴が助けてくれるという感じですかね。
技術的にど下手くそで聴けたものではなかった演奏も、いい琴使うと、とりあえず音色はいくぶんよくなるので、少なくとも本人の気分は最高。
そして、孟憲洪の琴に附属しているピックですが、変形六角型というのかな。
一辺の角度は、ベース型の先っぽみたいですね。
そして、持った感じは大きいなと思いましたが(いつものギター用のピックが多分、小さすぎるのかもしれません)、大きいだけあって、きちんと握れます。
きちんと握れるので、音がしっかりしたような気がしました。材質はナイロン?
正面からまともにお値段を聞いたら、XXXX元と言われました。
「どこまでまけられるか」と突っ込んでみても「そもそも、柳琴を専門にしている人が欲しがる琴だから、安くできるものではない、オマケできてもせいぜい100元程度しか引けない」と言われたので、先生もわたくしも「100元引じゃ、話しにならんよ、今日は買うのやめとく」と引き上げました。
楽器屋さんは「散々、遊んどいてそりゃないでしょ~、こういう品はハズレないし、この程度の値段はしても仕方ないよ~」と言われましたが、楽器屋を渡り歩いてきた先生にコストはお見通しなので、「また、そのうちね~」と立ち去りました。
先生いわく「知り合いの二胡の先生に頼んで話をつけてもらったら、彼とここの店主は仲がいいから値段はもう少し下がるだろうな。それと一般的に楽器屋は先生に対してあまり利潤を追求しないからね」とのこと。
先生は「中国一と言われる人の工房の柳琴なのだから、日本に胸張って持って帰れるね~どこに持って行っても恥ずかしくない琴だよ」と、まるで娘によい嫁入り道具を持たせるお父さんのような発言を繰り返し、何か面白い。
追伸:知り合いの先生が楽器屋と話をつけてくださり、ちょっとおまけしてくれたので、月曜日に買ってしました。
どこがどう違うのかというレポートは次回記事にします。