于紅梅二胡コンサート 北京交響楽団
于紅梅プロフィール
ニ胡演奏家、ニ胡修士、中央音楽学院副教授、修士生指導教官、中央民族楽団客席ソリスト
2010年11月28日 国家大劇院 音楽庁
【曲目】
印象劉天華 王丹紅 曲
哀歌 楊立青 曲
野草(二胡と管弦楽団のための作品) 郭文景 曲
——休息——
愛情 趙季平 曲
西域風情(二胡と交響楽団の組曲) 朱毅 曲
まずは、すごく感動した順に感想を述べたいと思います。
ニ胡とオーケストラ組曲「西域風情」
第一部分は2004年10月に日本で初演されたものです。
当時は組曲ではなくて、第一部分だけの単曲で、2009年に于紅梅先生の依頼を受けて残りの3曲を創作したため、元の「西域風情」は第一部分となり「古道駝鈴」という名前に変更されました。
ですから、第一部分を除く残りの三曲は世界初演とのこと。
第一部分は「古道駝鈴」。砂漠を旅するキャラバン隊の鈴の音です。ドンドコいう太鼓の音は足音を連想させます。こういう感じの曲は、NHKの「シルクロード」のテーマ「絲綢之路」や「キャラバンサライ」と雰囲気が似ていて、日本人はとても好きなんじゃないでしょうか。だから初演が日本だったのかな?
第二部分は「大漠鉄騎」。適当に日本語に訳すとしたら「砂漠を駆ける騎手」です。とてもスピード感のある曲で、砂漠の砂が舞うようでした。
第三部分は「亀茲姑娘」日本語で言えば「亀茲の娘」です。
亀茲というのは古代西域の国名で、現在の新疆ウイグル自治区の庫車県一帯です。
美しい亀茲の娘が歌い踊る様を表現しています。本当に甘い旋律でした。
よく音楽を聴いて目に情景が浮かぶといいますが、それだけではなく、甘い香りまで漂うような錯覚に陥りました。
そもそも于先生は可愛い人だから、さらに色っぽく見えましたね。
初演だから、そのへんには楽譜は売っていないかもしれませんが、この先、出てきたらぜひ欲しい。今の私にはこれを弾く腕はないけど、是非、誰か腕の達者な女性に弾いていただきたいと思いました。この曲を弾いたら、美しい人はより美しく、そうでない人も聴衆を錯覚させて美人に見えること請け合いの曲です。
第四部分は「賽乃拇舞曲」。伝統的な祭日に西域の人たちが歌い踊る軽快な曲でした。
上記4曲から構成される「西域風情」、お勧めのニ胡オケ曲です。
「印象劉天華」
第二回中国江陽劉天華民族音楽節のために2009年に創作された曲です。
楽曲中にはあの有名な「良宵」が挟まれています。于先生のほか、先生の学生さんが数名、ニ胡を担当しました。
皆さん、ほんとお綺麗でした…(目の保養になったわぁ)
「野草」
これは、わたくしには大変難しい曲でした。魯迅が亡くなってから70年になるそうですが、その精神を忘れないようにとの思いから創作されたものです。
「野草」というのは魯迅の散文集の名称だそうです。現代音楽における多様な音響効果を捨て去ったと作者がおっしゃっているように、普通の感覚ではなんか、ほんと理解するのが難しい…
打楽器が面白かったなぁっていう感想はあるのだけど、メロディが浮かんでこないんだよね。なんというか、ちょっと映画なんかの怖い場面の効果音っぽいそんな部分もあったりして。
ネットで公開されていた曲順ですと、この曲が最後のはずだったのですが、実際の演出では順番が変わっていて前半の最後に演奏されました。
ワタクシ的には曲順変えて成功だったのでは?と思います。
難しい曲で終わられると、満足できなかった感が強く残っちゃうものね。
アンコールはニ胡ではなく、京胡で。
いや~本当はわたくしニ胡と西洋オケってあんまり好きではないのだけど、「西域風情」組曲はとってもよかった~世界初演ばんさーいカモ。