Archive for 10月, 2009

著作権法におけるクリエーターとパフォーマー


2009
10.30

柳琴をわたくしに教えてくれている龍海先生が変わったことを少し教えてくださいました。
弦楽器を弾く場合、隣の弦に触れたりしないために手首の動きにはきちんとした軌道があるわけですが、舞台ではそれを逸脱して、多少大げさに手を振り上げろとおっしゃるのです。
それくらい、大げさな動きをして演じないと、お客さんからは舞台で何もしていないようにしか映らない、綺麗に見えないから、というのがその理由です。
もちろん、トレモロ部分でそんな大げさな動きはできませんが、スローテンポの旋律におけるダウン奏法時には大げさな動きをしても、弦を外すなんてことはないとおっしゃる。
踊るときのように優雅に振り上げて手を綺麗に見せろ、というのが龍海先生の要求です(^^;
(きらきら星しか弾けない初級者に、舞台技術まで語ってくれるなんて…ビックリ)

だけど、確かに琵琶奏者等のコンサートDVDをいろいろ見ていると、そういう動きがあるのですよね(はっきり言って演奏そのものには不要な無駄な動きですが、とても綺麗に見えます)。

子どもの頃や若い頃に教えていただいた先生方は、淡々と演奏技術と楽譜の読み方だけ教えてくださっただけなので、ロック歌手じゃあるまいし、伝統的な民族音楽をやる演奏家が頭の中でそんなことまで計算しつくしているとは思わず、初級レベルの下手くそな奴に対しても「一人で練習する時でも、客の前で弾いている気持ちで弾け」とおっしゃったことに正直ビックリしました。
まぁ、小学校の先生になるために音大に行った方と演奏だけで飯が食えるかどうかは別として演奏家になりたくて(又はそういう人を育てたくて)音大に行った方の違いなのかもしれませんが…

そして、演奏技術に関することのほか、いつも言われるのは次のような言葉です。
柳琴の龍海先生は「頭の中にただ音符があるだけ、空っぽの状態で弾くだけでは、人に何も伝わらないよ。無いものは伝わらないでしょう?ちゃんとお客さんを感動させなさい、表現しなさい!まずは私に何か伝えなさい」とおっしゃり、笛子の雪先生も、「演奏技術なんて練習すりゃどんな不器用なバカでも向上するものなの、じゃあ、お客さんは何を見に、何を聴きにくるかって?あなたの表現よ!」とおっしゃったことがあります。
(ええと、おっしゃるとおりわたくしは、何も考えずに弾いています…だって手を動かすだけで精いっぱい…そこから先の解釈にいけるように練習しますぅ…。)

あの人気マンガ(テレビドラマ、映画化もされた)の「のだめカンタービレ」を見ていると、演奏家というのは、曲をきちんと分析して、それを表現して、お客さんを如何に感動させるか、ということに非常に注意を払っていることが分かります。

そこで、ふと演奏者の気持ちと著作権法の考え方、というのにずれがあるのでは?と思い始めました。

実演家(演奏家とか俳優さんですね)というのは、日本や中国の著作権法では作品の伝達者だと考えられています。つまり作品の創作者ではなく、他人の著作に解釈を加えるだけなので創作度は低く「実演」は「著作物」ではないのです。もちろん著作権に隣接する権利として保護を受けますが…まぁ、創作物だとは考えられていませんね。

個人的には、「他人の作品に解釈を加えるだけ」といっても、演奏にはものすごく個性がでると思います。プロの演奏技術レベルが高い一定の領域に達しているっていうのは当たり前の話として、そこから先は解釈の部分でかなり創作していると思うのです。

わたくしは翻訳を飯のタネにしていますが、契約書等の商業翻訳は創作しているとは言えませんが(フォーマットがほぼありますし、自由な表現をしてよいものではありませんし、別の解釈の余地はありません)、同じ法律分野でも法律の概説書の翻訳ですと、読者に分かりやすいように、かなり創意工夫をしなければなりません。学術的な見解が訳語の選択にも影響を及ぼします。翻訳は原作の縛りを受けますが、「二次的著作物」として保護されるのはご存じのとおりです。

「翻訳」と「実演」は同じようなことをしているのに、「なぜ、実演(演奏)は著作物じゃないの?」というのが、わたくしの素朴な疑問であります。

国によっては、例えば台湾著作権法によりますと、「実演」は「実演著作物」と称することはできないものの、「独立の著作物として保護される」と説明されます。
法律論を抜きにして感情論から見ると、こちらの立法構造の方が、わたくしには納得がいきます。

クリエーターの立場からは自分の作品をこう解釈してほしいとか、最初からこの人のイメージで創作した作品というものが存在すると思います。
そういう場合、勝手な解釈をされたら、とっても気分悪いかもしれませんね。
だったら、実演を許諾しなければいいのです。
そして実演を許諾した以上、原作の意味を著しく損なわない限りいろいろな解釈があっていいと思うのです。

そういう意味では、著作権保護期間が切れてしまったクラッシックは誰でも自由に利用できる曲ですし、クリエーターの気持ちを傷つけることもないから、むしろ自由に解釈していいんじゃない?と思うのですが、現実には慣習的な縛りを受けて、クラシックを自由に解釈し放題とはいかないみたいですが…
「のだめ」に出てくる峰君がベートーベンのバイオリンソナタ「春」を「光る青春のヨロコビとイナズマ」と解釈して演奏するのは、やっぱ、正統派じゃないんだろうなぁ。

ちなみに、両先生方は「私が模範演奏するときは、私の解釈でやっていることだから、真似しなくていいし、あなたに押しつけることはしない」とおっしゃっています。
ひぇ~訳の分かんない練習曲でも先生が弾くとものすごい名曲に聴こえるから不思議だ。

真似したくたって、できねぇよ(^^;

「小星星」は名曲だ


2009
10.19

「わたくし、他人と合奏したくて楽器習い始めたんですよね。笛だと遊びでなら吹けますが、上手くなる見込みがあるとは思えなくなったので、他の楽器に浮気したんです。一生懸命、真面目に数年練習したら、他人と合奏できますか?柳琴だと難しい?中阮とかに持ち替えた方が他人の伴奏に向いているのでしょうか?」

先週、わたくしが龍海先生に送ったショートメッセージの概要です。
龍海先生の回答は、
「柳琴が中級レベルくらいになったら中阮に持ち替えてみてもいけるんじゃない?いずれにしても練習するしかないんだよね」

自分で言うのも悲しいですが、わたくしはかつてピアノをやったことがあるとは誰も想像できないほど不器用で(今、全く弾けないし)、音感もないし、本当に「やる気」しかないんですよ。

ところで、表題の「小星星」というのは、誰でも知っているあの曲「きらきら星」の中国語版。
とりあえず、これしか柳琴で弾けないわたくし。
単に音が鳴らせるというだけで、演奏には程遠いのですが、わたくしが柳琴で「きらきら星」を練習している横で龍海先生、店内の二胡を持ってきて、二胡で主旋律を弾きながら合奏してくださいました。

音源、録音していないのでお聞かせできないのが残念ですが、あの「きらきら星」がなんかすごいチャイニーズフォークミュージックに化けました。
上手い人に合わせてもらうと、くだらない音でも化粧されるものなんだと思いました。

「そもそも笛やってたのに、何でつづける気力がないの?」と龍海先生、今度は店内の笛子を持ってきてピーひゃら鳴らしてみて、「呼吸うまくできないって言うけど、長いこと訓練すればだんだん横隔膜がきちんと動くようになるものだと思うけどねぇ」とおっしゃる。

…言い訳がましいようですが、練習する時間がないのですよ。
子どもの頃は気管支炎をしょっちゅう患っているような虚弱人間でして、朝起きたばかりは体調がすぐれず、無理な呼吸をすれば目が回る。
そして、夜は定時に退勤できなければ、夜中に笛は鳴らせないでしょう。
その点、弦は多少の消音が可能です。

ところで、龍海先生は店内の楽器はすべて初級程度ならなんでも鳴らせるのでしょうか・・・・いいなぁ。

次回は「さくら さくら」をやろうと龍海先生がおっしゃるので、とても楽しみです。
中国語でも「桜花」とのタイトルで、琵琶や琴の子ども用楽譜にはよく日本の古典として楽譜が載っています。
もちろんわたくしが柳琴、先生が二胡。
「先生、わたくしに1度だけ、主旋律を笛で吹かせてください。先生、どの楽器でもいいから伴奏してくださいませんか」と言ったら、「いいよ」とのこと。

龍海先生やさしい~~~(;_;)うるうる

もちろん、基礎練習はちゃんとしますよ…
でも、練習、きちんとしたら、こういうオマケが付いてくるというのは、すごく嬉しい。
先生も仕事とはいえ、わたくしのような不器用で精神的にもろい学生をもつことは大変だと思います。
「どうしてこんなバカな学生、拾ってしまったんだろ」と後悔してないかな…
でも、柳琴はこれ以上価格をまけられないけど、代わりといっちゃなんだが、教えてあげるといったのは、先生、あなたの店の人だよ…(^^;

バカにつける薬があったら買いたい…


2009
10.18

「そろそろ半音の練習しましょうか」と笛子の雪先生が言いました。
そこで、わたくしに聞きました。
「ドレミファソラシドの中で、半音しか上がらないのはどことどこの間?」

ピアノとかやっていた人ならすぐにわかると思いますが、ミとファ、シとドの間に決まっていますよね。ピアノだとこの間に黒鍵はありません。

游鯉:「ミとファ、シとドです」
雪先生:「そうですね、では、ドの♯は何の♭?」
游鯉:「レの♭です」
雪先生:「よくできましたね。」

雪先生:「じゃあ、ファの♭は何でしょうね?」
游鯉:「ミの♯?」

雪先生:「……」
游鯉:「???」
雪先生:「よく考えてから、答えなさい(–;)」

ファの♭はミに決まっていますね。
ミの♯はファ。
理屈は分かっているのですが…頭にピアノの鍵盤を思い浮かべないと信じられないようなバカなことを口走るわたくし。
「さっきまで、正解だったのにどうしてそうなるかな…」と頭を抱える雪先生。

雪先生は、超おバカな学生を北京に残し、来週から1カ月ほど、全国演奏ツアーに出かけてしまうのでありました…

一億クリエータ又はパフォーマー?


2009
10.06

フルートを吹く人たちのブログを読んでいて、はじめて知りました。
音声ブログなんてあるんだ~

ファイルアップ画面では、著作権処理に関していろいろチェック項目があったりして、ふーん、という感じ。
わたくしのファイルは、曲目は著作権切れ、演奏はわたくし本人なので、問題ありません。
著作権切れてない楽曲などを歌う場合などはそれ用のカラオケがあるみたいですね。

世の中には、趣味でああしたい、こうしたいという要望はあるけど、著作権処理できずに、アップできないようという問題が結構あるんじゃないかと思っていたのだけど、こういうニーズに応えるサービスってあるんだね。
わたくしって、そんなことも知らずに、時代に遅れている人だったんだ。。。

寧夏で買った塤による「兎と亀」の演奏(演奏と言えるものではないが)をテストでアップしてみました。
続いて、下手くそな柳琴の音もアップしてみました。
あくまでも、ド素人による簡単な曲の演奏ですから、音のサンプルってことで、許してくださいませ。

以下が音声ブログのケロログさんで作ってみた音ブログであります。
http://www.voiceblog.jp/youli/

あぁ、本当に一億クリエータ又はパフォーマーの時代なんだなぁ。

「弾」かない楽器もあるのでは?


2009
10.04

日本語っていい加減だと思いませんか?

時々、不思議に思うのですが、日本語だとたいていの楽器について「XXを弾く」と言いますよね?
でも「弾」というのは弾く(はじく)行為ですから、わたくしなどは、バイオリンを「弾く」とかいう表現はかなり気持ち悪く感じます。

その点、中国語はどういう行為をするのかが非常に明確で分かりやすい。

バイオリンや二胡は「拉」
弓を引っ張る行為です。ちなみに、よくドアにも「拉」「推」と書いてありますが、この場合、「引く」「押す」の意味です。二胡の奏法には構造的に押さえる弓使いがあるので「推」とうのもありますね。バイオリンには「推」はないと思う…

ピアノは「弾」
ピアノは弦をハンマーで打つ行為ですが、大げさに弾くことと打つことは似ているような気がするのでワタクシ的には納得できます。

ギターや琵琶、琴などの弦楽器は「弾」
弾く(はじく)行為です。弦楽器の奏法で「弾」といえば「ダウン」を意味します。「アップ」は「挑」(すくい上げる)です。「トレモロ」は「輪」(アップとダウンを繰り返すからなのか?)

フルート、笛子、蕭は「吹」
息を吹きこむからですね。

歌は日本語だと「歌う」ですが、中国語だと「歌」より「唱」という動詞を用いるのが普通です。だから「歌を歌う」を中国語に訳せば「唱歌」。「唱」という動詞がとる目的語は「歌」だけにとどまらず、「唱劇」と言うのもありです。つまり、京劇みたいに歌って踊って演ずるものは「唱劇」ですね。

柳琴で遊ぼう


2009
10.03
わたくしの柳琴

わたくしの柳琴

「柳琴」は蘇北、魯南、安徽地方の民族楽器で歴史は浅く、せいぜい200年くらいしかありません。泗(し)州劇(泗州、現在の安徽省泗県に始まり、淮河両岸で行われる安徽省の地方劇の一つ)の主要伴奏楽器だったそうです。例えるなら京劇で京胡が果たす役割みたいなものを担っておりました。
近年、大規模な改良を経て現在は4本の金属製の弦になり音域が広がって(G~G4)、音量も大きくなったのだそうです。
半音ずつに区分された24のフレットがついておりますので(昔は7つのフレットしかなかったそうです)、12平均律の現代音楽を弾くのに問題はありません。
民族楽器のオーケストラでは高音を担当する楽器です。
よくマンドリンに似た音がすると紹介されているので、多分そうなのでしょう(わたくしはマンドリンの音を知らないのでコメントできない)

大きさは、琵琶の三分の二くらい。
だから琵琶のように琴頭が自分の頭を越えることはありえません。

見た目はこのように琵琶によく似ていますが、構造的には全く異なり、柳琴には両脇に2つの音孔がありますが、琵琶にはありません。

奏法的に比べると柳琴はギターのピックを使って弾きますが、中国琵琶は5本の指につけ爪をして弾きます。柳琴の調弦はGDGD、そのまま読めば「ソレソレ」ってなんだか、変な踊りの掛け声みたいで覚えやすいですね。琵琶の調弦はADEA。
誰が最初に製作した楽器なのかは諸説あるようですが、琵琶を参考にしたと言われているものの、各種特徴から見れば、琵琶より阮(げん)に近いのではないかと思います(阮の歴史は長い)。

ギターが弾ける方は、あっという間に弾けるようになるんだろうなぁ(羨ましい)

こんな感じ

こんな感じ

琵琶は重くて大きいので小さな子どもには無理がありますが、これは問題ないでしょう。(それでもよい楽器だとよい木を使っているので、ちょっぴり重め、柳琴でも初心者は重いと感じるようです)
しかし、ワタクシの手はやはり大きくて骨っぽいね…(汗)
顔を見せなかったら、完全に男性だと思うよね。

9月30日、事務所はすでに国慶節休暇に入ったので、楽器屋に出かけて龍海先生のレッスンを受けてきました。
楽器屋の片隅で教えてもらっているだけですから、当然、お客さんが入って来るのですよ。
龍海先生はわたくしに教えながら店番もしているのです。

「きらきら星」変奏曲を一生懸命弾いている傍で西洋人のお兄さんに見つめられてドキドキ。
もちろん、お兄さんはわたくしを見ているのではなく、この楽器は何だろうという好奇心で眺めているのだけど、下手な自分が悲しい…
でも、お兄さん、柳琴をお土産に買って帰ったようなので、(営業妨害にならなくて)よかった~

龍海先生と一緒にきらきら星を歌いました(^^;
(日本の伝統楽器の練習とかでもそうらしいですが、楽器を実際に吹いたり弾く前に、歌ってみることは、準備体操として有効な方法なのです)
「弾くとリズム狂うけど、歌はうまいじゃん」と言われました…
龍海先生は保父さんに向いているかも…

龍海先生曰く「もっと楽しそうに弾きなさい、童謡なのだから…」
しかしですね、先生、わたくしは楽譜を目で追いかけて、指を動かすのが精いっぱいで自分がどんな顔して弾いているのかまで気が回らないのですよ。

そういえば、笛子の松先生や雪先生にも同じこと言われたよなぁ。
要は「淡々と音符をひかずに、曲を奏でなさい」「音楽は人に見せるもの、楽しませてなんぼでしょう、もっと演じなさい」ということ。

そういえば、先生はおっしゃらなかったけど、「音楽」とは「音」を「楽」しむと書くし、「演奏」とは「演」じて「奏」でると書くのよね。
いつか音楽を演奏してみたいです(;_;)

皆さんもどうですか、柳琴~
次は中阮を弾いてみたい…